シロアリは床下など、特にジメジメした場所を好んで活動する傾向があり、発生すると建物に深刻なダメージを及ぼすことがあります。
そして、シロアリと同様に、ジメジメした場所でよく見かけるものといえばカビですが、実はシロアリとカビには好む環境に共通する部分が多くあります。
カビやシロアリが、建物や人に与える影響と、どのような点に注意する必要があるのかを解説します。
【目次】
Toggleシロアリが好む環境について
シロアリが好む環境には一定の特徴が見られます。 その特徴とは、おもに以下のようなことが挙げられます。
- エサがある
- 湿気が多い
- 日当たりが悪い
エサがある
木材の主成分である「セルロース」を、シロアリの体内にいるバクテリアなどの力を借りて分解することで栄養源としています。
とくに木造住宅の床下などは、エサとなる木材が多く、また巣との距離も近いことから、シロアリにとって都合のよい環境となりやすいのです。
なお、シロアリのエサに関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
湿気が多い
シロアリは、当然ながら生存するために水分が欠かせません。
そのため、湿度が高い床下などの場所は、シロアリによって都合のよい環境となります。
また、水分を含んだ木材は柔らかく食べやすくなることもあり、風呂場周辺や湿度の高い床下などでシロアリの被害を受けているケースが多く見られます。
一般に、木材の含水率が30%以上の木材をシロアリは好んで食べるといわれています。
なお、湿度が高い状況が起こる原因となるのは、例えば以下のようなことです。
- 床下の換気能力が十分でない
- 土壌から発生する水分量が多い
- 結露が発生している
- 水漏れが生じている
日当たりが悪い
シロアリは、光や乾燥を嫌うことから、日当たりの悪い環境を好みます。
エサを求めて建物内へ侵入する場合も、専用通路である「蟻道」をつくり、その中を移動することで光や乾燥の影響を避けているほどです。
そのため、床下など日が当たらない場所は、シロアリによって都合のよい環境となります。
なお、シロアリの蟻道に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
カビが好む環境について
カビには、黒カビや赤カビ、青カビなど、さまざまな種類があり、またどのような場所にも見られますが、いずれも好む環境に一定の特徴があります。
カビが好む特徴について、簡単に解説いたします。
カビが好む条件について
まず、カビが生育するためには、以下の4つの要素が必要となります。
カビの胞子は空気中にいつも存在しており、4つの要素がすべて揃った場所で胞子が付着すると、菌糸を伸ばし、徐々に繁殖するようになります。
一方で、これらのうち1つでも欠けると生育に支障をきたします。
つまり、4つの要素のいずれかを断つことがカビ対策になるということです。
しかし、唯一コントロールできるのは水分のみであり、その他は基本的にどうすることもできません。
というのも、酸素はいうまでもなく、カビはほこりやゴミなどあらゆるものを栄養としていること、またカビと人間では快適に暮らせる温度が重なることなどがその理由です。
よって、カビ対策として有効な方法とは、水分を供給しない環境をつくることとなります。
木材腐朽菌が好む環境もカビと共通している
木材腐朽菌とは、木材の腐れを引き起こす菌のことをいいます。
シイタケやエノキなど、キノコと同じ仲間であり、「白色腐朽菌」や「褐色腐朽菌」などの種類があります。
そして、木材腐朽菌が栄養源としているのは、木材に含まれる「セルロース」などの主要成分です。
そのため、木材腐朽菌が発生すると、質量を大きく減らし、著しく耐久性を低下させる原因となるため、建物にとってはシロアリと同様きわめてリスクの高いものとなります。
また、木材腐朽菌も「栄養」「温度」「水分」「酸素」の4つの要素が生育条件であり、カビと同様に水分を供給しない環境づくりが有効な対策となります。
シロアリとカビの関係性と注意点
シロアリとカビは、好む環境に共通点が多く見られます。
また、木材腐朽菌についても同じことが当てはまります。
つまり、カビが生えているような場所は、シロアリや木材腐朽菌にとっても都合のよい環境であり、より警戒する必要があるということです。
例えば、床下などは、換気不足や地質によって湿度が高くなることがあります。
点検口をのぞき込んで、カビが生えていたり、あるいはカビ臭かったりするようなら、シロアリや木材腐朽菌にとっても都合のよい環境が生じている可能性が高いといえます。
湿気対策の効果について
床下など、湿度が高くジメジメした環境は、シロアリやカビ、そして木材腐朽菌にとって心地よい場所となり得ます。
そのため、湿気対策を行うと、シロアリにとって自由に活動できる環境にはなりにくく、また、とくにカビや木材腐朽菌を防止するには非常に高い効果が期待できます。
しかし、湿気対策は、シロアリ対策として一定の効果が見込めるとしても、シロアリによる被害を完全に防げるわけではありません。
というのも、シロアリはエサを求めて蟻道をつくって移動しますが、その際にシロアリ自身が水を運ぶこともできるためです。
よって、シロアリから建物を確実に守るためにも、薬剤散布による予防を行うなど、状況に応じた適切な対策が必要となります。
カビは建物の強度に影響を与えることはない
カビは、木材に発生したとしても、表面の抽出成分のみを栄養としており、木材の主要成分である「セルロース」などを分解するわけではありません。
そのため、木材の強度を低下させたり、また建物の耐久性に影響を及ぼしたりすることはなく、その点でシロアリや木材腐朽菌と比べてもリスクの大きさは異なります。
しかし、人によっては、カビの胞子を体内に吸引することでアレルギー疾患を引き起こす可能性があることは注意が必要です。
まとめ
シロアリとカビは、好む環境に共通する部分が多く見られます。
つまり、カビが発生している場所は、シロアリにとっても都合がよい環境であり、被害を受ける可能性も高くなるということです。
しかし、カビが発生してないからといって、シロアリ対策についても行う必要がないということではありません。
カビの有無に関係なくシロアリの被害を受ける可能性はあり、そして何よりも、シロアリによる被害のほうがリスクとして大きい点でも、その重要性は明らかです。
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