シロアリは、建物の中に侵入してくるときには、自らつくった「蟻道(ぎどう)」というトンネル状の専用通路を使って移動します。
というのも、普段土の中で生活しているシロアリは光や乾燥を苦手としており、「蟻道」を通ることで、それらの影響を受けずに済むためです。
そのため、建物に「蟻道」がつくられている場合は、シロアリが侵入している可能性が高いと考えられます。
では、「蟻道」とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
また、見つけたらどのように対処すればよいでしょうか?
そこで今回は、シロアリの「蟻道」について、具体的にどのようなものなのか、また見つけた場合の適切な対処法などを詳しく解説いたします。
【目次】
Toggleシロアリの蟻道とはなに?
シロアリの蟻道とは、その名の通り「蟻が通るための道」のことで、おもにエサや水を運ぶことを目的としてつくられます。
蟻道は、土やシロアリの排泄物および分泌物などの体液を混ぜ合わせた「蟻土(ぎど)」でつくられており、風雨に耐えられるほどの強度を有していることが特徴です。
シロアリの蟻道は身を守るための通路
シロアリの個体は、皮膚が非常に薄く、乾燥しやすい環境にあると致命的なダメージを負うことになります。
そのため、日光や外気などの影響を避けるためにトンネル状の蟻道をつくって移動するわけです。
また、蟻道は非常に強固であり、日光や外気だけでなく、外敵から身を守る防御機能も備わっています。
シロアリの蟻道は空中にもつくる
シロアリの蟻道は、壁や天井を沿うようにつくられていることが一般的によく見られるケースです。
しかしときには、なにもない空中に向けて伸びていく、いわゆる「空中蟻道」がつくられることがあります。
というのも、シロアリは目が見えないことから、石などの障害物にぶつかると、壁があると認識してなにもない空中へと蟻道を延ばしてしまうためです。
しかし、なにも支えがない「空中蟻道」は、途中で折れてしまうことが多く、上までつながって完成することは非常に珍しいケースとなります。
とはいえ、「空中蟻道」が見られる場合は、被害が大きくなる傾向にあるため、十分な注意が必要です。
シロアリの蟻道がつくられることが多い場所
シロアリの蟻道は、エサや水を運ぶこと目的としてつくられる専用通路であり、あらゆる場所で見られます。
基本的に、日光が当たりにくく湿気の多いところを好んでつくる傾向にありますが、例えば以下のような場所で多く確認できます。
- 基礎立ち上がり
- 基礎配管
- 床束、鋼製束
- 断熱材
基礎立ち上がり
住宅の基礎は地中と接していることから、シロアリがエサを求めて上がってきたところに建物があれば基礎へ蟻道をつくりながら移動します。
ベタ基礎であっても、隙間が生じることがあり、そこから侵入する可能性は十分にあります。
なお、ベタ基礎であっても安心できない理由については、以下の記事を参考にしてください。
また、蟻道は床下に限らず、基礎の外側につくられていることもあります。
外側にある蟻道も日光が当たりにくい場所につくられることが多いため、基礎周辺に物などを放置しないようにすることが重要です。
基礎配管
住宅の基礎には、水道の給排水やガスなどの配管を通すために貫通穴をあけていることがあります。
しかし、貫通穴に配管を通した後でも、その周辺に隙間が生じることが多く、処理が不十分であれば、そこに蟻道をつくりシロアリが侵入するケースもあります。
床束、鋼製束
床束とは、大引きなどの構造部材を支えるための木製束のことをいい、蟻道がよくつくられる場所でもあります。
近年では、床束に代わり鋼製束が使われることが多くなっていますが、その上部にはエサとなる木材があるため、蟻道をつくり、通り道として利用されることも少なくありません。
断熱材
断熱材は、おもに壁や床の中に入れて使用します。
しかし、シロアリは雑食性昆虫であり、とくにポリスチレンフォームやウレタンフォームなどの断熱材に加害するケースが多く見られるようになっています。
そのため、壁や床の内部には、気づかないうちに蟻道が張り巡らされているケースも少なくありません。
また、高断熱住宅で用いられる「基礎断熱」においても、基礎と断熱材の間に蟻道をつくって侵入することも多く、問題となっています。
シロアリの蟻道を見つけたときにやるべきこと
シロアリの蟻道があるということは、シロアリが存在し、かつ被害を受けている可能性がきわめて高いことを意味します。
そのため、シロアリの蟻道を見つけたときは、速やかに対処することが重要です。
シロアリの蟻道を見つけたときにやるべきこととは、以下のことが挙げられます。
シロアリの蟻道かどうかチェックする
蟻道は、ケアリという黒アリの種類やジグモというクモの種類などもつくりますが、見つけた蟻道がシロアリのものなのかチェックすることが可能です。
例えば、ケアリやジグモの蟻道は、柔らかく、少し触っただけで簡単に壊れてしまいます。
一方、シロアリの蟻道は、蟻土でつくられているため、茶色くやや硬いことなどが特徴です。
また、日本国内のシロアリ被害のほとんどは、「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」の2種類となっています。
これらは、蟻道の特徴がそれぞれ異なりますが、写真と見比べることで判断できます。
「ヤマトシロアリ」の蟻道は、以下の写真のように、細長い形状をしていることが特徴です。
そして「イエシロアリ」の蟻道は、以下の写真のように、太く大きな塊となった形状をしていることが特徴となります。
シロアリ駆除業者へ相談する
蟻道を見つけた場合、すぐにでも取り除いてしまいたくなるかもしれません。
しかし、蟻道を除去しただけでシロアリ被害を防げるとは限らないばかりか、むしろ警戒を与え、今後の対応が難しくなることも考えられます。
また、市販の殺虫剤を使用してしまった場合、生き残った個体が巣へ逃げ帰った後に、危険を察知して群れが分散してしまう可能性もあります。
シロアリの蟻道があるということは、すでに被害が進行している可能性が高い状況であるため、できるだけ早期に調査を行い、被害状況を把握することが重要です。
シロアリ駆除の専門業者であれば、床下調査など、くまなくチェックできるうえ、状況に合わせた対応を検討できます。
よって、シロアリの蟻道を見つけたときには、信頼できる専門業者に相談することをお勧めいたします。
まとめ
シロアリの蟻道とは、シロアリがエサを求めて移動するための専用通路です。
自宅に蟻道がつくられているのを見つけた場合は、すでに被害を受けているかもしれません。
そのため、まずは専門業者へ床下の調査を依頼し、状況を確認してみるとよいでしょう。
ヤマト産業では、床下の無料調査を実施しています。
シロアリの蟻道を見つけた方や駆除を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。