シロアリが侵入してくる場所といえば、床下からというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?
もちろん、床下が非常に多いのは間違いありませんが、意外にも玄関が侵入経路となるケースも珍しくありません。
しかも、玄関には床下スペースがないため、シロアリが発生した場合でも駆除が難しい場所である点でも、とくに気を付けておく必要があります。
そこで今回は、シロアリの被害が多い玄関周辺でとくにチェックしておきたいポイントと駆除方法について解説いたします。
【目次】
Toggleシロアリ被害が玄関周辺で発生しやすい理由
玄関は、シロアリの被害が多い場所のひとつです。
というのも、玄関周辺には玄関框や玄関ドア枠などでシロアリのエサとなる木材が多く使われており、住処のある土壌との距離が比較的近いことが理由として挙げられます。
このことは、シロアリにとって都合のよい環境であるため、リスクとして捉え、必ず対策をしておきたい場所となります。
シロアリは玄関構造の隙を突いて侵入する
玄関にシロアリ被害が多いのは構造上隙間が生じやすいためで、そこから侵入を許してしまうケースが多く見られます。
一般的な玄関たたきは、タイル仕上げとし、その下層には土間コンクリートの下地を設けています。
コンクリートに囲まれている構造であることから、シロアリが侵入する余地はないと考えがちですが、実は、そうではありません。
というのも、タイル下地としての土間コンクリートは、構造としての強度を必要としないため、基本的に荒打ちであり、継ぎ目となる部分には隙間が生じやすいのです。
シロアリは、0.6mmほどの隙間があれば侵入できるといわれていることからも、侵入を想定し、対策を怠らないことがポイントとなります。
この点は、ベタ基礎であっても同様であり、警戒を緩めるのではなくリスクに備えておくことが重要です。
なお、ベタ基礎でもシロアリ対策が必要である理由については、以下の記事を参考にしてください。
玄関の水洗いがシロアリ発生につながることがある
玄関たたきはタイル仕上げとしていることが多く、水洗いを行うと短時間できれいにすることも可能です。
ところが、目地が劣化し、ひび割れが生じていると、そこから水が漏れてしまうことがあります。
目地からの水漏れによって、周辺の湿度が高まったり、木材が濡れたりすると、シロアリにとっては非常に都合のよい環境となります。
タイル目地の劣化が見られる場合は、まずは適切な補修をすることが重要です。
玄関ドア枠もシロアリの標的になることがある
玄関ドア枠は、構造上、タイル仕上げよりも下の層へと入り込んでいる場合があります。
これは、施工時に、タイルよりも玄関ドア枠のほうを先行して設置する必要があるためです。
玄関ドア枠が木製であれば、シロアリにとって格好のエサとなりますが、基礎と土間コンクリートの隙間から侵入を許し、加害を受けてしまうことも珍しくありません。
また、とくに築年数の古い建物などは、玄関ドア枠とシロアリの住処となる土壌が接しているケースもあります。
このようなケースは、とくに被害を受けやすくなるため十分な注意が必要です。
シロアリ被害が多い玄関のチェックポイント
玄関はシロアリ被害が多い場所であるため、ときにはセルフチェックを行うことが重要になります。
そうすることで、シロアリ被害にいち早く気付き、被害の拡大を防げるようになります。
また、玄関は、ほかの部屋と異なり、たたき部分の下には人が入り込めるスペースがありません。
そのため、床下からの調査が行えない場所でもあり、こまめにチェックすることで予防効果にもつながります。
シロアリ被害が多い玄関のセルフチェックしておきたいいくつかのポイントについて、簡単にご紹介いたします。
目視チェックを行う
玄関框や玄関ドア枠、巾木などの木製建材について、変色や変形はないか、あるいは穴があいているような箇所はないかなど、目視でチェックします。
また、玄関は、冬になると外部との温度差で結露が生じやすくなることは注意が必要です。
結露は、表面に現れる「表面結露」と壁内で起こる「壁内結露」があります。
「壁内結露」は、目視で確認できないため、気が付かないうちに木材や断熱材を傷め、木材腐朽菌やシロアリの発生につながることがあります。
結露が発生しやすい時期は、こまめに換気を行うなどの対策をすることも重要です。
打診チェックを行う
玄関框や玄関枠、巾木など、木製建材について、打診により、空洞音はしないかなどチェックを行います。
シロアリは、光や乾燥を嫌うため、基本的に人目にふれるような場所ではなく、木材の内部で加害します。
そのため、シロアリに気づいたときには、木材の内部はスカスカになっていたということも少なくありません。
ときどき打診してみることで、異変が生じていないか確認することが重要です。
玄関周辺の駆除方法について
シロアリ駆除は、「公益社団法人日本しろあり対策協会」の「施工仕様書」の基準に則って行います。
この「施工仕様書」による方法で、最も被害を受けやすい床下の駆除は効果的に行えます。
なお、シロアリ駆除の方法に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
しかし、玄関周辺は、シロアリ被害の多い場所であるにもかかわらず、駆除が行いにくい場所でもあります。
というのも、一般的に多く見られる玄関たたきの下層は土間コンクリートであり、人が入り込むスペースがそもそもないためです。
床下から玄関まで最も近づけるのは、玄関框付近となるため、そこから先は床下からの薬剤散布は物理的に行えません。
そのため、玄関周辺の駆除方法は、少し異なる方法で行う必要があります。
玄関周辺の駆除方法とは、床や壁など必要な部分に対し、穿孔して薬剤を注入するという方法です。
例えば、玄関タイルの目地部分や玄関ドア枠の根元部分、その他にも玄関袖壁の任意の一部などに穴をあけて薬剤を注入します。
これらは、目視で確認できない部分への施工となることから、施工業者の経験値や知識が活かされる部分となります。
まとめ
玄関周辺は、シロアリ被害が非常に多い場所のひとつとなります。
しかし、チェックが疎かになると、気が付かないうちに被害が拡大する可能性があることは十分に注意しておかなければなりません。
そのため、ときにはセルフチェックを行い、いち早く変化を察知することが重要になります。
もちろん、専門業者へ依頼し定期的なチェックを行うことも有効です。
ヤマト産業では、床下の無料調査を実施しています。
玄関や床下、その他建物周辺でシロアリの存在を疑う兆候を感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。