自宅がシロアリの被害を受けている場合、適切な方法で駆除を行わなければなりません。
シロアリ駆除にはいくつかの方法がありますが、そのひとつに、毒エサを用いて巣全体に働きかけることを目的とする「ベイト工法」があります。
「ベイト工法」は、有効な駆除方法ではあるものの、メリットとデメリットがあり、通常行う「薬剤散布による施工」とは特徴が大きく異なることは理解しておくとよいでしょう。
そこで今回は、シロアリ駆除方法のひとつである「ベイト工法」について、具体的にどのような方法なのか、またどのようなメリットとデメリットがあるのかなど、徹底解説いたします。
【目次】
Toggleシロアリ駆除の「ベイト工法」とは?
建物をシロアリから守るには、適切な方法で対策を行う必要があります。
そして、シロアリ駆除にはいくつかの方法がありますが、代表的なものといえば大きく以下の2つです。
- 薬剤散布による施工
- ベイト工法
薬剤散布による施工
薬剤散布による施工とは、その名の通り、専用の薬剤を散布することにより、シロアリを駆除する方法です。
ヤマト産業で行うシロアリ駆除は、「公益社団法人日本しろあり対策協会」の「施工仕様書」の基準に則り、大きく以下の3つの手順で施工します。
- 木部薬剤注入
- 土壌散布
- 壁面・土間薬剤注入
これら3つの手順で建物内に存在するシロアリを駆除し、そして再発を防ぐための予防処理を行っています。
なお、シロアリ駆除の方法や手順に関する詳しい内容は以下の記事を参考にしてください。
ベイト工法
ベイト工法とは、シロアリが好む成分に薬剤を混ぜたベイト剤を使い、巣へ持ち帰らせることで、巣の中に存在しているシロアリ全体の駆除を狙った方法となります。
アメリカ生まれの駆除方法であり、近年、実績も増えているシロアリ対策です。
ベイト工法のおもな手順は、まず建物外部の地面に複数の専用容器を埋設し、その中にベイト剤を入れてシロアリがやって来るのを待ちます。
ベイト剤にシロアリがヒットすると、巣へ持ち帰り、その巣にいる仲間達に分け与えられます。
以下の画像は、シロアリがヒットした状態のベイト剤です。
ベイト剤の多くは脱皮を阻害する成分が含まれています。
そのため、脱皮を繰り返して成虫となるシロアリに作用すると、成長が止まり、やがて死んでしまうというわけです。
このように、ベイト工法は、薬剤散布による施工とはまったく異なるアプローチでシロアリを駆除する方法となります。
ベイト工法のメリットとデメリットについて
ベイト工法は、シロアリを駆除する有効な方法のひとつですが、メリットとデメリットがあります。
ベイト工法のメリットとデメリットについて、簡単に解説いたします。
ベイト工法のメリット
ベイト工法のおもなメリットとは以下の通りです。
- 安全性が高い
- 巣への効果が期待できる
- 床下に侵入できない建物にも対応できる
●安全性が高い
ベイト工法に含まれる薬剤は、脱皮を阻害するものです。
よって、脱皮をしない人間の身体には作用しないため、非常に安全性が高いといえます。
また、ベイト剤は、地中に埋設することから、基本的に人体に接触することもありません。
なお、「薬剤散布による施工」で使用する薬剤も、「公益社団法人日本しろあり対策協会」の適正な審査を経て認定されたものは高い安全性が確認されています。
「薬剤散布による施工」で使用する薬剤に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
●巣への効果が期待できる
ベイト工法は、設置するだけで、巣にいる多くのシロアリへの効果が期待できます。
「薬剤散布による施工」は建物内にいるシロアリを駆除するための方法であることに対し、ベイト工法は巣に潜むシロアリへ働きかける駆除方法です。
シロアリは、普段人の目に触れることのない土の中に集団で暮らしていますが、非常に大きな規模を対象として働きかけられることは、この工法の大きな魅力といえます。
●床下に侵入できない建物にも対応できる
建物によっては、低床で床下に侵入できなかったり、そもそもスペースがなかったりすることがあり、薬剤散布ができないケースがあります。
しかし、ベイト工法は、建物周囲の地中にベイト剤を入れた専用容器を埋設する方法となるため、基本的に建物の条件に影響を受けません。
ベイト工法のデメリット
ベイト工法のおもなデメリットとは以下の通りです。
- すぐに効果は得られない
- コストが割高
- シロアリの種類によって対応が異なる
●すぐに効果は得られない
ベイト工法は、まず設置したベイト剤にヒットさせ、それから巣に持ち帰らせて拡散するといった、いくつかのステップを踏まなくてはなりません。
そのため、効果が現れるまでには、少なくても数ヶ月以上は必要です。
よって、すでに建物が食害を受けている場合は、効果を得るまでに被害が進行してしまうリスクがあります。
一方、「薬剤散布による施工」は、施工後すぐに効果が期待できる方法となります。
●コストが割高
ベイト工法は、「薬剤散布による施工」と比較してもコストが割高となってしまいます。
というのも、ベイト剤そのものが高価であることに加え、定期的に中身を確認する必要があるなど管理コストが必要となるためです。
よって、コストを抑えてシロアリ対策としたい場合には、適さない方法といえます。
●シロアリの種類によって対応が異なる
ベイト工法は、効果を最大限得るために、シロアリの種類によって対応を変える必要があります。
日本国内のシロアリによる家屋の被害は、そのほとんどが「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」になりますが、種類によってベイト剤に対する行動パターンが異なります。
そのため、十分な効果を得るためにも、以下のように柔軟に対応することがポイントです。
- ベイト剤を設置する
- ベイト剤にシロアリがヒットする
- 交換時に振動を与えずゆっくり取り出す(シロアリが警戒フェロモンを出すため)
- シロアリが落ちないようパックの中に入れて既存のベイト剤を処分する
- 新しいベイト剤を設置する
- ベイト剤を設置する
- ベイト剤にシロアリがヒットする
- 新しいベイト剤に既存のベイト剤に付いているシロアリを入れる
- シロアリが仲間を呼び、ベイト剤を食べる
ヤマト産業が行うベイト工法について
ヤマト産業では、ベイト工法による駆除についても対応していますが、基本的には薬剤散布による施工をおすすめしています。
というのも、ベイト工法は、イエシロアリに対しては有効な方法であるものの、ヤマトシロアリの場合は十分な効果を得られないケースがあるためです。
そして実は、京都においてイエシロアリの発生はありません。
このことがベイト工法より薬剤散布による施工をおすすめしている理由です。
ただし、薬剤によるシロアリ駆除に抵抗がある、あるいは低床で床下に侵入できないなど、床下への薬剤散布ができない場合は、ベイト工法による対策を提案させていただくことがあります。
まとめ
シロアリ駆除には、いくつかの方法がありますが、そのひとつとしてベイト工法が挙げられます。
ベイト工法は、即効性は期待できないものの、長期的な視点から建物を守る方法として広く採用されるようになっています。
ただし、シロアリの被害を受けている場合は、ベイト工法ではなく、薬剤散布による施工が効果的です。
ヤマト産業では、床下の無料調査を実施しており、建物ごとに異なる状況に応じて、適切な方法を提案いたします。
シロアリに関して不安を感じている方や駆除を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。