家の中や周辺で「アリ」を見つけた場合、それが「シロアリ」なのか、あるいは「クロアリ」なのか、見分けがつかない人のほうが多いのではないでしょうか?
特に「羽アリ」を見つけたときは要注意。たまたま寄ってきた「クロアリ」であれば、様子を見るだけでも良いかもしれません。
しかし、それが「シロアリ」であった場合は、建物にとって大きなリスクとなり得るだけに、適切な処置を講じる必要があります。
では、「シロアリ」と「クロアリ」はどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、京都でシロアリ駆除歴29年のヤマト産業の取締役中岡が、「シロアリ」と「クロアリ」にはどのような違いがあるのか、その見分け方のコツについて、徹底解説いたします。
【目次】
Toggleシロアリが最も人目に触れるのは「羽アリ」のとき!
通常、シロアリは、土の中に巣をつくって暮らしており、また乾燥や日光を苦手としていることから、私たちの目に触れることはほとんどありません。
しかし、一定の限られた期間に、巣の中の一部が「羽アリ」となって集団で地上へと飛び立ちます。
これを一般的に「群飛(ぐんぴ)」といい、別の場所で新しく巣をつくって繁殖活動をすることを目的として行うといわれています。
シロアリが「群飛」を行う時期とは、おもに以下の通りです。
この「羽アリ」となって地上に飛び立つ時期は、シロアリが私たちの前に現れる唯一ともいえるタイミングです。
そして、一般的によく目にするクロアリも「羽アリ」となります。そのため、シロアリかクロアリかを見分ける必要があるのは、「羽アリ」となったタイミングが多いといえます。
なお、シロアリの活動時期に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
シロアリとクロアリの見た目の違い
シロアリとクロアリの羽アリは、それぞれ、見た目に異なる特徴があります。
とくに見分けやすいのは、以下の3つの特徴についてです。
- 触覚
- 翅(はね)
- 腰
触覚
シロアリの羽アリとクロアリの羽アリでは、触覚の形状が大きく異なります。
シロアリの羽アリの場合は数珠状で真っすぐであることに対し、クロアリの羽アリの場合は「く」の字状に折れています。
この触覚の違いは、シロアリとクロアリを見分ける方法として最もわかりやすい特徴です。
翅(はね)
シロアリの羽アリとクロアリの羽アリでは、翅の形状が大きく異なります。
シロアリの羽アリの場合は4枚の翅がすべて同じ大きさであることに対し、クロアリの羽アリの場合は前翅のほうが後翅よりも大きくなっています。
この翅の特徴の違いは、開いた状態でないと判別できないため、通常の閉じた状態では見分けがつきにくいかもしれません。
また、シロアリの羽アリの翅は取れやすく、クロアリの羽アリの翅は取れにくいといった特徴もあります。
腰
シロアリの羽アリとクロアリの羽アリでは、腰の形状が大きく異なります。
シロアリの羽アリの場合はくびれがなく寸胴であることに対し、クロアリの羽アリの場合は細くくびれがあります。
この腰の形状の違いも、通常の翅を閉じた状態では見分けがつきにくい特徴です。
シロアリとクロアリの食性の違い
シロアリとクロアリは、それぞれ好みとするエサが異なります。
そのため、発見した「アリ」が何を食べているのか、またどのような被害を受けているのかなどを確認することで、見分けることも可能となります。
シロアリが好みとするエサについて
シロアリが好んでエサとするのは木材であり、おもに木材に含まれる成分のひとつ「セルロース」を栄養源としています。
とくに、柔らかい木材は、エサとして適しています。
また、その他にも、ポリスチレンフォームやウレタンフォームのような断熱材、プラスチック、ゴム類、コンクリートなど、住宅に使われている建材をエサとする点では注意が必要です。
なお、シロアリのエサに関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
クロアリが好みとするエサについて
クロアリが好んでエサとするのは、昆虫の死骸のほか、お菓子や砂糖のような甘いもの、肉、魚など、あらゆるものを食べます。
しかし、基本的に木材を食べることはないため、シロアリのように建物が甚大な被害を受けることはありません。
また、クロアリは、シロアリを捕食することもわかっています。つまり、シロアリにとってクロアリは天敵ともいえる存在なのです。
まとめ
シロアリとクロアリは、似ている部分もありますが、住宅に危害を加える存在となるのはシロアリです。
そのため、家の中や周辺に現れた「アリ」が、シロアリなのか、あるいはクロアリなのかという点は非常に重要な問題となります。
そして、その「アリ」が、シロアリであった場合は、放置するのではなく、できるだけ早く専門業者へ相談することをおすすめいたします。