「シロアリは木材を食い荒らす」というイメージを持っている人は非常に多いのではないでしょうか?
確かに、シロアリが好んでエサとしているのは木材です。
しかし、シロアリは、同じ木材でも好みのものとそうでないものがあることや、食べるのは木材だけではないことなどは、予防という視点からも注目しておく必要があります。
一方、シロアリをエサとするような天敵はいるのでしょうか?
そこで今回は、シロアリが好んでエサにしているのはどのような木材で、その他どのようなものを食べるのか、またシロアリの天敵はいるのかなど、詳しく解説いたします。
【目次】
Toggleシロアリがエサにしているのはなに?
シロアリが好んでエサにしているのは木材です。
これは、木材に含まれている成分である「セルロース」を栄養源としていることが、その理由となります。
木材を構成する主要成分は、大きく以下の3つです。
- セルロース
- ヘミセルロース
- リグニン
これら3つの成分で木材の大部分を占めており、なかでも「セルロース」はおよそ50%を占めるといわれています。
「セルロース」は、多数のブドウ糖が結合した物質であり、シロアリの体内にいるバクテリアなどの力を借りて分解し、エネルギーとしています。
シロアリの好みの木材と好みでない木材
シロアリのエサとなるのは木材ですが、好みのものとそうではないものがあります。
シロアリが好みとするのは、柔らかい木材になりますが、これは単に食べやすいためです。
柔らかい木材の代表的なものといえば、マツやモミ、スプルースなどが挙げられます。
一方、好みではないのは匂いの強い木材になります。
これは、木材に含有する匂い成分が、シロアリなどその他昆虫に対する忌避効果を発揮するためです。
匂いの強い木材の代表的なものといえば、ヒバやヒノキ、スギなどが挙げられます。
ただし、これら匂いの強い木材でも、確実に被害を防げるわけではありません。
とくに、丸太を木口から見て中心に近い部分である「心材」と、外側に近い部分である「辺材」では効果が異なる点では注意が必要です。
一般的に「心材」はシロアリに強く、「辺材」はシロアリの被害を受けやすいとされています。
そのため、住宅の構造部材としてはシロアリの好みではない木材が適しており、実際の工事でも一般的に用いられています。
シロアリが木材以外にエサとするもの
シロアリは、おもに木材を好んで食べますが、エサとなるのは木材だけではありません。
例えば、段ボールや新聞紙などは、木材を原料としていることから「セルロース」を含んでおり、シロアリにとっては打ってつけの栄養源となります。
また、シロアリは雑食性昆虫であり、ポリスチレンフォームやウレタンフォームのような断熱材のほか、プラスチック、ゴム類、繊維類、皮革類などを加害することがあります。
さらには、煉瓦やコンクリート、動物の死骸にまで及ぶなど、あらゆるものが加害対象となることは知っておくとよいでしょう。
シロアリに天敵はいる?
わたしたちの暮らしにとって脅威となるシロアリでも、非常に弱い生き物であることから、実は多くの天敵がいます。
また、シロアリは、鉄分やたんぱく質を含んでいるなど栄養価が高く、さらには攻撃能力も低いため、多くの生物にとって格好のエサとなるのです。
しかし、通常シロアリは土の中で生活しており、地上で活動する天敵と遭遇する機会も非常に少ないという事実があります。
とくに女王アリは、地上で姿を見せることはほぼないため、天敵に襲われることないまま日々産卵を続け、驚くほどの繁殖力を発揮するわけです。
一方、春から夏にかけての一定の期間で地上に姿を現す大量の羽アリは、その多くが天敵のエサとなってしまいます。
とはいえ、羽アリは、ひとつのコロニー(巣)のなかでわずか1%程度といわれており、全体のダメージとして深刻な事態にはなり得ません。
天敵が多く、そして生物的に弱い生き物でありながらも、強く生き延び、そして人間にとって脅威であり続けているのは、このような特有の生態からです。
シロアリのおもな天敵とは
シロアリには、多くの天敵が存在します。
なかでも代表的な天敵といえば、以下の通りです。
- 黒アリ
- クモ
- 鳥
- カエル
- トカゲ
- 蛇
これらのうち、最大の敵となるのは黒アリです。
同じ「アリ」という名称が使われていますが、実はまったく異なる種類であり、黒アリが「ハチ」の仲間であることに対して、シロアリは「ゴキブリ」の仲間となります。
黒アリは基本的に肉食性が強く、シロアリを見つけるといとも簡単に捕食します。
その他にも、シロアリの天敵は非常に多く存在しますが、集団で生活し、それぞれの役割を忠実に果たすことで身を守っているのです。
天敵を使ってシロアリ対策はできる?
シロアリには非常に多くの天敵が存在しますが、これらをシロアリ対策として利用することは可能でしょうか?
結論として、それは期待できません。
なぜなら、シロアリは土の中で生活しており、ほぼ天敵の前に姿を現すことなく、日々その数を増やし続けているためです。
また、仮に黒アリを床下に放った場合、住宅の構造を傷めることはないものの、食べ物を狙って建物内へ侵入してきたり、あるいは住人やペットに噛みついたりする可能性もあります。
シロアリ対策として必要なことは、床下など建物内への侵入を防ぐことです
安易な対策を講じるより、専門的な知識を持つプロの業者に相談することをお勧めいたします。
まとめ
シロアリが好んでエサとするのは木材ですが、それだけでなく断熱材やゴム製品、コンクリートにいたるまで、あらゆるものを加害することは注意が必要です。
とくに、段ボールや新聞紙などは、シロアリの栄養源である「セルロース」を含むものであるため、自宅周辺に放置しないよう気を付けましょう。
また、過去5年以内にシロアリ対策を施していないようなら、まずは専門業者へ床下の調査を依頼することをお勧めいたします。
ヤマト産業では、床下の無料調査を実施しています。
シロアリを見つけた方や駆除を検討している方は、お気軽にご相談ください。