住宅を建築する場合、あらかじめ「地盤調査」を行い、その結果に基づいて基礎の形を検討する必要があります。
というのも、建築後に建物の重さに地盤が耐えられない場合、不同沈下が生じるなどの影響を受けてしまうためです。
よって、建築後に生じる可能性のある影響を事前に分析し、対策を講じなくてはなりません。
それを可能にするのが「地盤調査」です。
そこで今回は、そもそも「地盤調査」とは何なのか、そして代表的な調査方法とはどのようなものがあるのか、徹底解説いたします。
【目次】
Toggle地盤調査とはなに?
建築工事では、建物が地盤の状態に影響を受けることがあり、これを防止するため、建築予定地の地盤の硬さについて調査を行います。
このときの調査を地盤調査といいます。
例えば、軟らかい地盤の上に建物を建てると、その重さに耐えられず、傾きながら沈む不同沈下を引き起こすことがあります。
この不同沈下を防止するには、その地盤に適した地盤改良工事を行うことが一般的です。
一方で、硬い地盤であれば、地盤改良工事を必要としません。
つまり、地盤調査を実施することにより、建築後に不動沈下は生じないか、または地盤改良工事は必要なのかなどを判断するためのデータを得られるわけです。
よって、地盤調査は、住宅建築において安全面やコスト面を左右する、きわめて重要な要素となります。
また、地盤調査は、以下の通り、法律によって実施の根拠が示されているものでもあります。
建築基準法施行令 第38条 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
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建築基準法施行令 第93条 地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。
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地盤調査の方法とは
地盤調査は、地盤の硬さを調べることをいいますが、いくつかの方法があり、それぞれ特徴が異なります。
代表的な地盤調査の方法について、以下に解説いたします。
スクリューウエイト貫入試験
スクリューウエイト貫入試験は、住宅建築で最も一般的に行われている地盤調査のことで、「SS試験」や「SWS試験」などと呼ばれることもあります。
以前は、「スウェ-デン式サウンディング試験」と呼ばれていましたが、2020年のJIS改定により、名称が変更されました。
この方法は、使用する装置により「手動式」「半自動式」「全自動式」があり、先端がキリ状になった鉄の棒(ロッド)を地盤へ突き刺し、その沈み方で地盤の硬さを調べます。
非常に低コストで実施できますが、規模の大きな土地での調査には適さない方法であることなどがおもな特徴です。
ボーリング調査
ボーリング調査は、最も基本的とされる方法であり、おもにマンションなど比較的規模の大きな建物を建築する場合に行われる地盤調査です。
この方法は、地盤に掘削した孔の中へロッドを差し込んだ後、その上におもり(ハンマー)を自然落下させ、その打撃回数で地盤の硬さを調べます。
また、同時に、ロッドの先端に付いている試料採取器(サンプラー)で採取した土の性質を分析することができます。
スクリューウエイト貫入試験では対応が難しい深さや硬質な地盤なども調査できますが、多くの時間を要することや高コストになりやすいことがおもな特徴です。
平板載荷試験
平板載荷試験は、地盤に対し、直接荷重をかけることにより、現実に近い状況で行える地盤調査です。
この方法は、地盤に対し載荷板を設置し、載荷装置による垂直荷重で生じる沈下量の大きさから地盤の硬さを調べます。
直接荷重をかけて調査できることから高い信頼性を得られますが、載荷板が比較的小さいため地盤の深くまでは調査できないことがおもな特徴です。
表面波探査法
表面波探査法は、地面に揺れを与え、その揺れが伝わる速さによって、地盤の硬軟を判断する地盤調査です。
この方法は、敷地内へ設置した起振機で小さな地震を人工的に発生させ、その振動(表面波)による地中での伝わり方から地盤の硬さを調べます。
また、表面波探査法は、地層ごとに地盤の硬さを表す「支持力」と、建物を建てたときにどの程度沈下するのかを示す「沈下特性」がわかります。
基礎設計に適した面調査であり、さらに「支持力」と「沈下特性」の算出により、無駄な地盤改良工事の判定が無くなることが大きな特徴です。
まとめ
地盤調査は、安全な住宅づくりにおいて欠かせないものです。
一方で、地盤改良の方法や調査員のスキルなどの要因により、地盤改良工事が必要以上に発生していることは注意しておかなくてはなりません。
ヤマト産業では、表面波探査法による地盤調査を取り扱っており、10,000件以上の実績を有しています。
これから地盤調査を行う予定の方、あるいはすでに盤調査を行い、その結果に納得がいかない方は、ぜひお気軽にご相談ください。