住宅の建築において、地盤の状態は、建築後の建物に重大な影響を与えることのあるきわめて重要な要素となります。
その影響として深刻なものといえば、建物が傾きながら沈んでいく現象「不同沈下」が挙げられます。
そして、この建築後に生じる可能性のある「不同沈下」などを防ぐため、事前に分析し、対策を講じるために実施するものが地盤調査です。
地盤調査には多くの方法がありますが、それらのなかで弊社がおもに取り扱っているのは、高精度な調査が行えることで建築コストを効果的に低減できる「表面波探査法」となります。
そこで今回は、「表面波探査法」とはどのような地盤調査なのか、その調査方法や優れた特徴などを徹底解説いたします。
【目次】
Toggle表面波探査法とは?
表面波探査法とは、住宅の建築予定地について、地盤の硬軟を調べるために行う地盤調査方法のひとつです。
表面波探査法以外の地盤調査には、「スクリューウエイト貫入試験」「ボーリング調査」「平板載荷試験」など、いくつかの方法があります。
なお、地盤調査に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
表面波探査法の調査方法について
表面波探査法とは、地面に揺れを与え、その揺れが伝わる速さによって地盤の硬軟を判断する調査方法のことで、地面を揺らす起振機と波動を抽出する検出器を用いて情報を得ています。
調査方法としては、まず敷地内へ設置した起振機で小さな地震を人工的に発生させ、その表面波(振動)が地中でどのように伝わるのか検出器でデータを検出し、地盤の硬さを調べます。
そして、この表面波は、周波数を変えると伝わる深さが変化していくことも大きな特徴です。
そのため、周波数を変えることで、さまざまな深度での地盤の変化を測定することが可能となります。
また、表面波は、硬い地盤ほど早く、柔らかい地盤ほど遅く伝わることから、伝わる速度の違いによって地層の境界を読み取り、各層の硬軟や傾斜、そして厚さなども調査できます。
表面波探査法は「支持力」と「沈下特性」がわかる
表面波探査法は、地盤がどれだけの荷重を支えられるのかを示す「支持力」と、建物を建てたときにどの程度沈下する可能性があるかを示す「沈下特性」がわかります。
まず、地盤調査を行ううえで重要な指標となるものに「地耐力」があります。
「地耐力」とは、どれだけの「支持力」と「沈下特性」を有しているのかを示す指標であり、十分な強度が確保できると判定するには、基本的にその両方を満たさなくてはなりません。
つまり、「支持力」と「沈下特性」のいずれかが十分でないなら、「地耐力」が不足しているとして、地盤改良工事などの対策を検討する必要があるわけです。
表面波探査法は、「支持力」と「沈下特性」の両方を調査し、より精度の高い解析を行えます。
表面波探査法はムダな地盤改良工事が無くなる
表面波探査法は、「支持力」と「沈下特性」を算出することにより、地盤の硬さを正確に判定できるようになります。
しかし、住宅の地盤調査として最も一般的な「スクリューウエイト貫入試験」では、ほとんどのケースで「沈下特性」は計算されていません。
そのため、当然に「地耐力不足」と判定されることも多くなり、確実に安全を確保するため、必要以上に地盤改良工事が行われている傾向にあります。
要するに、同じ地盤であっても、調査方法によって地盤改良工事の要否判定が異なるケースがあるのです。
表面波探査法を実施した場合は、「スクリューウエイト貫入試験」と比較しても地盤改良工事は必要ないという判定が圧倒的に多くなります。
以下の図の通り、その差は歴然であり、表面波探査法で地盤調査をすることにより、直接基礎の割合が6割以上も増えることが過去の実績から明らかとなっています。
なお、直接基礎でよいということは、地盤改良工事を行って建物を建てるよりも、トータルコストの大幅な削減が図れることを意味します。
つまり、表面波探査法は、コストパフォーマンスが有利に働く可能性が高い方法なのです。
まとめ
地盤調査は、安全な住宅づくりに欠かせないものですが、その方法によって結果は大きく異なります。
最も一般的に実施されている「スクリューウエイト貫入試験」は、その性質上どうしても地盤改良工事判定が多くなり、工事コストの増加につながりやすい傾向にあります。
一方で、表面波探査法は、「支持力」と「沈下特性」を算出することにより、地盤の硬さを正確に判定できるため、地盤改良工事判定を大幅に減らせる方法です。
ヤマト産業では、表面波探査法による地盤調査を取り扱っており、10,000件以上の実績を有しています。
これから地盤調査を行う予定の方、あるいはすでに地盤調査を行い、その結果に納得がいかない方は、ぜひお気軽にご相談ください。