「シロアリの駆除を行った家はゴキブリもいなくなる」という話を聞いたことはありませんか?
たしかに、シロアリとゴキブリは生物学的にいうと仲間であるため「同様の駆除効果が期待できるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、結論からいえば、あまり期待はできない、というのが私たちシロアリ駆除のプロの見解です。
この記事では、京都でシロアリ駆除を年間3000件以上施工しているヤマト産業の取締役中岡が「シロアリ駆除を行ったらゴキブリにも効くのか」その噂の真相について、徹底解説いたします。
下記の動画にも概要をまとめたので、ぜひご覧ください!
【目次】
Toggleシロアリとゴキブリは仲間
シロアリは、「アリ」という名称が付けられていますが、一般的によく目にする黒アリとは異なります。生物学上の分類は、ゴキブリ目シロアリ科。約3億年前にゴキブリから分化して誕生したそうです。
シロアリが「アリ」と呼ばれるようになったのは、その見た目が似ていることや、いずれもコロニー(巣)を形成して活動する社会性昆虫であることなど、類似する部分が多いため。白アリは「ゴキブリ目」という分類である一方、黒アリは「アリ目」という分類で「ハチ」の仲間となります。
しかし、シロアリとゴキブリは、共通点はあるものの、生息場所や食性など、大きく異なる部分もあります。そのため、これらに対処するには、それぞれの特性を知り、適切な方法で対策を講じることが重要になります。
シロアリ駆除を行ったらゴキブリにも効く?
「ゴキブリと同じ仲間なら、シロアリ駆除すればゴキブリにも効果があるんじゃない?」
とお客様にも聞かれるのですが、実際のところ、期待はあまりできません。
その理由として、シロアリとゴキブリでは生息場所や行動などが大きく異なるので、シロアリ駆除を行っても、ゴキブリがその薬剤に接触する可能性は低いといえるからです。
シロアリとゴキブリは侵入経路が違う
シロアリとゴキブリは、建物内へ侵入する場合、そのルートが異なります。
シロアリの場合は、土の中に巣をつくり集団で活動しているため、そのほとんどは床下の土壌から基礎などの構造物を伝って侵入します。
そのため、シロアリ駆除は床下を中心に行うことが一般的であり、施工後も一定期間は効果が持続し、侵入を防ぐことが可能です。
一方、ゴキブリの多くは、床下からではなく、玄関や窓、排水口、換気扇などから、壁を伝い、あるいは飛来してなど、あらゆるルートを使って侵入します。
つまり、床下を中心に行うシロアリ駆除の薬剤に対して、ゴキブリが接触する可能性は非常に低いのです。
仮に、床下にいたゴキブリ対して効果があったとしても、また違うルートからいくらでも侵入される可能性があるでしょう。
シロアリ駆除薬剤は過去のものより強力ではない
現在、シロアリ駆除の薬剤として用いられているものは、過去に使われていた強い殺虫性を有するものとは異なります。
例えば、過去に主流となっていた「クロルデン」や「クロルピリホス」という薬剤は、非常に強力な殺虫性があったものの、土壌汚染や健康被害などが問題となり、使用禁止となりました。
現在では、薬剤の開発も進み、シロアリへの効果を発揮しながらも、人体や環境に対しては安全性の高い薬剤が続々と登場しています。
要するに、床下でシロアリ駆除を行った場合でも、床上で暮らす私たち人間には影響が及ばないのと同様に、生息環境が異なるゴキブリを一掃することも考えにくいのです。
ましてや、シロアリ駆除の薬剤は、シロアリを駆除するためにつくられているのであって、ゴキブリに対する効果を期待するのは筋違いといえるかもしれません。
なお、シロアリ駆除薬剤の安全性については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
シロアリ駆除を行った場合、ゴキブリにも効くのかというと、期待することは難しいといえます。
ゴキブリが薬剤に接触した場合は、一定の効果があるとしても、それは一時的なことで、持続的な効果ではありません。
そのため、ゴキブリ対策を行うなら、専用の薬剤を用いることが重要です。
なお、シロアリ駆除を行うと、薬剤の効果は一時的なものではなく、散布から5年間については建物内への侵入を防げます。この効果が持続するように対策をすることで、建物をシロアリの被害から守ることが可能となります。