シロアリ駆除は費用の負担も大きいですよね。
いったん契約したものの、もっと良い業者を見つけて「やっぱりキャンセルしたい!」となるシーンもあるかもしれません。
実際、シロアリの駆除は、大事なマイホームを長く、そして快適に使うために欠かせない処置ですが、業者になかには、悪徳業者も少なからず存在します。当社は京都で、寺社仏閣を含め、年間3000件以上のシロアリ駆除工事を行っており、お客様から他社の契約をキャンセルして当社にお願いしたいと言われるケースが少なからずあります。
結論からいえば、悪徳業者の場合、「クーリング・オフ制度」を利用してキャンセルできるケースが多いです。ただし、制度を利用するには一定の要件を満たしていることが必要です。
今回は、シロアリ駆除歴30年のヤマト産業取締役中岡が「クーリング・オフ制度」について、詳しく解説いたします。
【目次】
Toggleそもそも「クーリング・オフ制度」とはなに?
まずは、クーリング・オフ制度について、説明しますね。
クーリング・オフ制度は、対象となる商品やサービスを購入した場合、定められた期間内であれば、無条件で申し込みの撤回や契約の解除ができる制度のことをいいます。英語でいうと「Cooling Off」で、言葉のとおり「頭を冷やして考え直す」という意味になります。
つまり、クーリング・オフとは、不本意な契約をしてしまった消費者に対して、冷静に考える時間を与え、必要に応じて救済するための制度といえます。特に、訪問販売による契約で訳の分からぬまま押し切られて、不本意に契約してしまうトラブルに備えるため、設けられました。
シロアリ駆除業者に限らず、悪徳業者から身を守るために、ぜひ皆さんに知っておいていただきたい制度です。
クーリング・オフ制度の対象となる取引
しかし、クーリング・オフ制度には、利用できる取引とできない取引があります。クーリング・オフが利用できるおもな取引とは、以下の通りです。
●訪問販売
自宅へ訪問して商品やサービスなどの販売を行うための契約をする取引
●電話勧誘販売
電話で商品やサービスなどを販売するための勧誘を行い、申込みを受ける取引
●特定継続的役務提供
エステティックサロンや語学教室など、一定の継続的なサービスの提供に対する取引
●訪問購入
自宅へ訪問して物品の販売を行う取引
●連鎖販売取引
マルチ商法による取引
●業務提供誘引販売取引
仕事をあっせんするなどの口実で誘引し、その仕事に必要なものとして商品を販売する取引
クーリング・オフの期間
クーリング・オフは、対象となる取引ごとに期間が定められています。
その期間を過ぎてしまうとクーリング・オフが利用できなくなることから、十分に注意しておかなければなりません。
クーリング・オフの期間とは、以下の通りです。
契約書面を受けとった日から8日間
- 訪問販売
- 電話勧誘販売
- 特定継続的役務提供
- 訪問購入
契約書面を受けとった日から20日間
- 連鎖販売取引
- 業務提供誘引販売取引
シロアリ駆除で「クーリング・オフ制度」を利用するための条件
さて、本題のシロアリ駆除では、クーリング・オフ制度を利用できるケースがあります。
まず、悪徳業者に多い、訪問販売による取引はほとんどのケースで利用できるでしょう。例えば、、、
「内容をよく理解しないうちに押し切られて契約書に判を押してしまった」
「営業マンがいつまでも帰ってくれず、早く帰ってほしくて仕方なく契約した」
「契約書も交わしていないのに、勝手に工事されたうえ、請求が高額だった」
「最初に聞いていた料金と実際の請求額が大きく違う」
このように、訪問販売での強引な売り込みで、つい契約書にサインをしてしまった場合はクーリング・オフ制度が利用できます。ただし、契約書を受け取った日から換算して8日以内であることにご注意ください。8日を過ぎてしまうとクーリング・オフできなくなります。「どうしよう……」とあたふたしているちに、クーリング・オフ期間を過ぎてしまった、なんてケースもありますので、あれこれ悩まず、利用してくださいね。
クーリング・オフを実行すると、初めから契約がなかったことにできますが、これは施工後であっても前金を支払った後であっても行えます。
なお、当社の知るところによると、クーリング・オフが行えるにもかかわらず「クーリング・オフはできない」や「違約金がかかる」など意図的に妨害しようとする業者も存在します。しかし、これら業者による妨害行為は違法であり、罰則の対象となる可能性があることは知っておくとよいでしょう。
「クーリング・オフ制度」を利用できないケース
クーリング・オフは、不本意な契約をしてしまった場合に無条件で解除できる制度ですが、利用できないケースもあるのでご注意ください。
先ほどお伝えしたように、クーリング・オフの期間が過ぎてしまったケースですね。
訪問販売であれば、契約書を受けとった日から8日間であり、その期間を経過した後はクーリング・オフを利用できません。大事なことなので繰り返しになりますが、早めに決断することが重要です。
また、インターネットや電話、あるいは店舗に出向いて契約した場合など、自らの意思によるケースでも利用できません。消費者が自分の意志でアクションを起こして商品やサービスを購入する場合は、考え直す時間を設ける必要はないと考えられるためです。
「クーリング・オフ制度」を利用する場合は書面で通知
では、クーリング・オフするためにはどうすればいいの?
という話ですが、原則として、書面で通知しなくてはなりません。記録となるものがないと、後になって「そんなものは知らない!」と業者側から反故にされることが考えられるからです。ここは大事なポイントですので、ぜひ知っておいてくださいね。
また、普通郵便ではなく、「内容証明郵便」や「特定記録郵便」などを用いて送ることもたいせつです。悪徳業者は、クーリング・オフ制度でキャンセルされることが多いので、それなりの防衛策を持っている可能性があり、実際に配達されていたとしても「届いていない」と知らないふりをされるからです。
ちなみに、クーリング・オフは、送付した時点で契約が解除されることから、発信日がクーリング・オフの期間内であれば有効となります。
まとめ
クーリング・オフ制度は消費者の権利を保護するための重要な法的措置です。シロアリ駆除契約でも利用できるケースがありますので、ぜひ知っておいてください。
もし今、悪徳業者の訪問販売により不本意な契約をしてしまって後悔されていたら、すぐに利用するとよいでしょう。クーリング・オフには、期間が定められているため、くれぐれも後回しにせず、早急に決断し、実行に移してくださいね。
なお、シロアリ駆除の悪徳業者対策については、以下の記事に詳しく解説していますので、参考にしてください。