※2026年9月更新:表面波探査が受けている「建設技術審査証明」の内容(審査で認められた6項目・1997年から続く更新の経緯)と、2つの試験の位置づけ比較表を追記しました。
住宅建築の際、あらかじめ地盤調査を実施し、その結果から基礎の形を検討する必要があります。
地盤調査には、いくつかの方法がありますが、なかでも一般的に行われているのは「スクリューウエイト貫入試験」になります。
そして、「スクリューウエイト貫入試験」とはまったく異なる特徴を有し、弊社がおもに取り扱う方法が「表面波探査法」です。
では、これらの方法には具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
そこで今回は、地盤調査の方法である「表面波探査法」と「スクリューウエイト貫入試験」にはどのような違いがあるのか、徹底解説いたします。
【目次】
Toggle表面波探査法とスクリューウエイト貫入試験の調査方法

地盤調査のはなしです。むずかしそうに見えますが、だいじょうぶ。
2つの調査の違いを、順番に見ていきましょう。
地震大国である日本において、地盤の状態は、安全な住宅づくりの重要なカギとなります。
なぜなら、住宅は地盤の上に建てるものであり、地盤が軟弱であれば建物の重さに耐えられず地盤沈下を起こす可能性があるためです。
とくに、傾きながら沈む不同沈下が生じると、構造部に偏った負荷がかかることによるダメージのほか、めまいや頭痛などの健康被害を受ける可能性があるため、十分に注意しなくてはなりません。
このような影響を避けるには、事前に地盤調査を行い、結果に基づいて基礎の形を検討することが重要になります。
地盤調査には多くの方法がありますが、代表的なものは以下の通りです。
- スクリューウエイト貫入試験(以下SWS試験)
- ボーリング調査
- 平板載荷試験
- 表面波探査法
なお、地盤調査に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
表面波探査法とは
表面波探査法とは、地面に揺れを与え、その揺れが伝わる速さにより地盤の硬軟を判断する方法であり、弊社でおもに取り扱う地盤調査となります。
この調査は、「支持力」と「沈下特性」を算出し、より精度の高い解析を行うことで、地盤の硬さを正確に判定できることがおもな特徴です。
そのため、地盤改良工事判定は非常に少なくなり、建築工事のトータルコストの削減につながります。
なお、表面波探査法に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
スクリューウエイト貫入試験とは?
SWS試験とは、以前は「スウェ-デン式サウンディング試験」と呼ばれていたもので、2020年のJIS改定で現在の名称に変更されました。
この方法は、先端がキリ状になった鉄の棒(ロッド)を地盤へ突き刺し、その沈み方で地盤の硬さを調べます。
ロッドの先端に取り付けたスクリューポイントを地面に突き立て、おもりによる沈み込みやハンドルを回転させて25cm貫入するまでの回転数で硬軟を判断します。
しかし、SWS試験は、ボーリング調査のように土を採取して土質を調べる方法ではありません。
そのため、土質については、ロッドを貫入させるときの感触や音などを根拠として判定する必要があり、その正確性は施工業者や作業員に影響を受けやすい点は注意が必要です。
また、敷地の4隅と中央の5か所について、締まった支持層に到達するか深さ10m程度までの調査を行いますが、地中障害物が混入している場合などは追加の測定を行うこともあります。
他の地盤調査方法と比べても調査コストが安く、簡便であることなどがおもな特徴となります。
表面波探査法とスクリューウエイト貫入試験の違い
表面波探査法とSWS試験には、いくつかの異なる特徴があります。
おもな違いについて、簡単にご紹介いたします。
面と点の違い
表面波探査法とSWS試験の大きな違いといえば、「面」の調査であるか、あるいは「点」の調査であるかということです。
以下の図のように、表面波探査法が検出器を設置した範囲にある「面」の調査であることに対し、SWS試験は鉄の棒(ロッド)を差し込んで行う「点」の調査となります。

出典:ビイック株式会社
表面波探査法は、敷地内へ設置した起振機で小さな地震を人工的に発生させ、その表面波(振動)が地中でどのように伝わるのか2つの検出器でデータを検出して地盤の硬さを調べます。
検出器は、およそ1~1.5mの間隔で設置し、その範囲の波を計測する「面」の調査となります。
一方、SWS試験は、ロッドを貫入させ、ハンドルの回転数により地盤の硬さを調べる方法です。
ロッドは、その先端に直径わずか33mmのスクリューポイントを取り付けたものを貫入させる「点」の調査となります。
そのため、表面波探査法は建物の荷重を「面」で支えるベタ基礎と相性がよく、またSWS試験は建物の荷重を「点」で支える杭基礎との相性がよいとされています。

出典:ビイック株式会社
コストの違い
表面波探査法とSWS試験では、どちらを行うのかによってコストが変わります。
このコストは、「調査コスト」だけでなく、地盤改良工事を含めた「トータルコスト」の両面でチェックすることがポイントです。
まず「調査コスト」は、表面波探査法のほうが高く、SWS試験のほうが安くなります。
一方「トータルコスト」は、表面波探査法のほうが安く、SWS試験のほうが高い傾向にあります。
というのも、表面波探査法はSWS試験よりも精度の高い調査が可能となるためです。
精度の高い調査を実施すると、地盤改良工事は必要ないという判定が多くなり、その結果としてムダなコストを防げるようになります。
ちなみに、SWS試験では地盤改良工事判定が75%であることに対し、表面波探査法では12%と圧倒的な差が生じることがわかっています。

地盤改良工事が必要か必要ではないかという違いは、トータルコストに大きな差が生じることはいうまでもありません。
この点が表面波探査法とSWS試験の最も大きな違いです。
なぜ、このような差が生じるのかというと、まず「面」の調査と「点」の調査の違いにあります。
靴に例えると、表面波探査法はスニーカーで、SWS試験はハイヒールになります。
スニーカーで浜辺を歩いても沈みませんが、かかとが尖ったハイヒールで歩くと沈んでしまいます。
つまり、「面」の調査である表面波探査法は「点」の調査と比べて簡単に沈み込むことはなく、より正確な調査結果を得られることで、ムダな地盤改良工事も大幅に減らせるわけです。

出典:ビイック株式会社
また、表面波探査法は「支持力」と「沈下特性」の両方を算出しますが、SWS試験のほとんどは「沈下特性」の計算が行われません。
「沈下特性」とは、建物を建てたときにどの程度沈下する可能性があるかを示すもので、非常に重要な指標となります。
そのため、地耐力が不足していると判定されやすく、地盤改良工事も多くなってしまう傾向にあるのです。
表面波探査法は、「支持力」と「沈下特性」の両方を調査し、地盤改良工事判定を少なくすることでトータルコストを削減します。
表面波探査は、公的な審査を25年以上受け続けている技術です
「表面波探査という名前を初めて聞いた。信頼できる方法なのか」——そう思われた方のために、この調査法が受けている公的な審査についてもご紹介しておきます。
私たちが行う表面波探査(起振機を用いたビイック方式)は、建設技術審査証明という制度の審査を受けている技術です。これは、民間で開発された建設技術を、学識者で構成される委員会が第三者の立場で審査し、開発目標どおりの性能があるかを証明する制度です。
この技術は1997年に最初の審査証明を取得してから、2002年・2007年・2012年・2017年・2022年と6回にわたって更新を続けています。四半世紀にわたって、5年ごとの審査をくぐり抜けてきた調査法だということです。
審査で「認められた」6つの項目
- 地盤の硬さ(表面波の速度)と地層の区分を測定でき、データの再現性が良い
- 狭い敷地でも測定できる。雑振動や舗装がある市街地でも測定できる
- 発破や重りの落下ではなく、起振機による非破壊の試験である
- 調査が簡便で効率的(1地点30〜60分、2〜3人で測定できる)
- 建物を建てた際の沈下量予測に必要な情報を取得できる(直接基礎による3階建てまでの建物)
- 機器が軽量で、搬入が難しい場所でも調査できる
とくに5つ目の「沈下量予測」は、この調査法ならではの強みです。地盤の硬さを面でとらえているからこそ、建てたあとに家がどれだけ沈むかを、建てる前に予測する材料が得られます。
2つの試験の「位置づけ」を整理すると
誤解のないようにお伝えすると、スクリューウエイト貫入試験はJIS(日本産業規格)に定められた正式な試験で、戸建て住宅で最も広く使われている方法です。優劣ではなく、性質の違いを整理すると次のようになります。
| 項目 | スクリューウエイト貫入試験 | 表面波探査 |
|---|---|---|
| 位置づけ | JIS A 1221(日本産業規格) | 建設技術審査証明(1997年から6回更新) |
| 測り方 | スクリューを荷重と回転で地中に貫入させる | 地表から波を伝えて速度を測る(非破壊・舗装の上からも可) |
| 硬い層・礫 | 貫入できず、途中で測定できなくなることがある | 波で測るため影響を受けにくい |
| 得られる情報 | 測定点ごとの貫入抵抗(点の情報) | 地盤の硬さの構造・層の区分・沈下量予測(面の情報) |
| 調査の目安 | 比較的短時間で実施できる | 1地点30〜60分・2〜3人 |
私たちが表面波探査を採用しているのは、地面を傷つけずに、地盤を「面」でとらえ、沈下量の予測まで行えるからです。過剰な地盤改良工事を減らすことにもつながります。
最後にもう1つ。地盤の状態は、家が建ったあとも住まいに影響し続けます。地盤の動きで基礎にひび割れ(クラック)が入れば、そこは湿気やシロアリの入り口になります。私たちの無料床下点検で、シロアリだけでなく基礎のクラックや配管からの水漏れもあわせて確認しているのは、そのためです。
まとめ
表面波探査法とSWS試験は、同じ地盤調査でも特徴が大きく異なります。
また、「面」と「点」で行う調査方法の違いにより、判定結果も変わることがあり、そうなるとトータルコストにも差が生じます。
表面波探査法は、地盤の硬さを正確に判定し、トータルコストの大幅な削減を実現できる方法です。
ヤマト産業では、表面波探査法を行っており、「地盤調査のセカンドオピニオン」としても対応しております。
納得できない地盤調査結果など、お問い合わせいただければ、改良判定が不要と判断される可能性を回答させていただきます。
これから地盤調査を行う予定の方、あるいはすでに地盤調査を行い、その結果に納得がいかない方は、ぜひお気軽にご相談ください。




