住宅の基礎は、大きな建物の重量を支えるための土台であり、きわめて重要な役割を担う部分です。
そして、基礎には大きく「杭基礎」と「直接基礎」の2種類がありますが、これらは地盤調査で得たデータを基に採用を検討することになります。
しかし、これらにどのような違いがあるのか、またどのような特徴があるのか、わからない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、住宅の基礎の種類である「杭基礎」と「直接基礎」の違いと特徴について、徹底解説いたします。
【目次】
Toggle基礎の種類は杭基礎と直接基礎の2つ
住宅の基礎は、大きく杭基礎と直接基礎の2種類に分けられます。
杭基礎とは地盤に杭を打ち込んで建物を支える基礎のことをいい、直接基礎とは地盤に直接設置して建物を支える基礎のことをいいます。
要するに、軟らかい地盤に対しては杭基礎を、そして硬い地盤に対しては直接基礎をそれぞれ用いることが一般的であり、この点が2種類の基礎の大きな違いです。
そもそも基礎は、建物の重量を適切に地盤へ伝えることにより、不同沈下を防止し、建物の安定化を図る役割があります。
そのため、地盤の状態に合わせて適切な基礎をつくる必要があるのです。
杭基礎とはなに?
杭基礎とは、軟らかい地盤に対して打ち込んだ杭によって建物の重量を支える基礎のことをいいます。
地盤の状態は地盤調査を行うことでわかりますが、軟弱である場合、地盤沈下が生じるなどさまざまな影響を及ぼすおそれがあります。
これを防止するために設置するのが杭基礎です。
なお、地盤沈下に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
また、杭基礎は、大きく以下の2種類に分けられます。
支持杭
支持杭とは、軟弱地盤である場合に、支持層に到達するように杭を設置して建物を支える基礎のことをいいます。
地盤調査では、いくつも重なり合う地層のなかで、建物を支えるだけの十分な硬さを有する地層である、いわゆる支持層の位置を調べられます。
支持層が深い位置にある場合でも、そこまで杭を到達させることで建物の重量を支持層まで伝え、安定化を図れるというわけです。
摩擦杭
摩擦杭とは、軟弱層が厚く、杭を支持層まで到達させることが難しい場合など、設置した杭と接する土との摩擦力によって建物を支える基礎のことをいいます。
摩擦杭は、支持層に到達する必要はありませんが、杭の径を太くしたり、または長くしたりすることによって、土と接する面を多くして摩擦力を高めています。
直接基礎とはなに?
直接基礎とは、十分な硬さを有する地盤に対し、フーチングと呼ばれるコンクリートの土台を直接設けて建物の重量を支える基礎のことをいいます。
また、直接基礎には、以下の通り大きく3つの種類があります。
独立基礎
独立基礎とは、建物の柱の位置にのみ独立した土台を設けた基礎のことで、建物の重量を「点」で支える構造になります。
独立基礎は、築年数の古い木造住宅などでよく用いられていましたが、現在新築する住宅では、その他の方法が採用されることが一般的となっています。
しかし、住宅で使われることは多くないものの、非住宅建築物ではよく見られる基礎構造です。
布基礎
布基礎とは、建物の柱や壁の間をつなぐように土台を設けた連続する基礎のことで、建物の重量を「線」で支える構造になります。
布基礎は、逆T字型の形状をしていることから、独立基礎と比べて地盤との接地面積が大きく、より安定した構造といえます。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、建物下の全面に対してコンクリートの土台を設けた基礎のことで、建物の重量を「面」で支える構造になります。
床下の全面にコンクリート敷き詰めてつくることから、独立基礎や布基礎と比べても地盤との接地面積が大きく、さらに安定性を増した構造といえます。
ちなみに、新築の戸建て住宅の基礎として、現在最も多く採用されているのは、このベタ基礎です。
まとめ
住宅の基礎は、大きく杭基礎と直接基礎の2種類があります。
これらの違いとは、地盤に建物の重量を支えるだけの硬さを有しているのかという点にあります。
地盤の硬さを知るには、まず地盤調査が必要です。
地盤調査の結果として、軟らかい地盤であれば杭基礎を、硬い地盤であれば直接基礎を設置することを検討します。
当然ですが、杭基礎の判定となった場合は、建設コストは余計にかかってしまうため、予算を圧迫してしまうことも考えられます。
しかし、住宅の地盤調査で一般的に用いられているのは「スクリューウエイト貫入試験」であり、実は、それほど高い精度が期待できる方法ではありません。
そのため、本当は必要ではない杭基礎が多くつくられているのです。
ヤマト産業では、高精度な調査が可能で「スクリューウエイト貫入試験」よりも直接基礎の判定が圧倒的に多くなる「表面波探査法」を行っています。
なお、「表面波探査法」に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。