「シロアリ駆除剤って安全なの?」「アレルギーの人でも大丈夫?」「ペットに害はない?」
シロアリ駆除を検討する際、使用する薬剤の安全性を心配される方が多いと思います。
シロアリ駆除は床下で行われるとはいえ、家族が暮らす住空間への影響を考えると「安全なものが使われているのか」という点は重要な問題ですよね。
結論からいうと、現在使用されるシロアリ駆除薬剤は安全性の高いものです。ただし、用法容量が守られないといけませんし、家庭ごとに適した使用方法があるのも事実。いくら安全とはいえ、注意すべきポイントはあります。
そこで今回は、シロアリ駆除歴30年のプロが、シロアリ駆除で使用する薬剤が安全である理由と注意点について、徹底解説いたします。
この記事を読めば、シロアリ駆除の薬剤について見識が深まり、安心してシロアリ対策ができるようになると思います。
下記の動画にも概要をまとめたので、ぜひご覧ください!
【目次】
Toggleシロアリ駆除薬剤の安全性について
シロアリ駆除で使用される薬剤は、安全性の高いものです。
ただし、定められた用法や用量の通りに使用する必要があり、この点が守られることで適正な効果が期待できます。
そして、シロアリ駆除薬剤の安全性とは、歴史の積み重ねのなかで培ったものであり、また、専門機関による審査に基づいて裏付けられたものになります。
シロアリ駆除薬剤の歴史について
シロアリ駆除薬剤は、現在使用しているものと過去に使用されていたものを比べると大きく変わっています。
1950年代には、「クロルデン」という有機塩素系の薬剤が主流となっていましたが、土壌汚染や健康への影響などの理由から1986年以降は使用禁止となっています。
その後、よく使われるようになったのは、殺虫力が強い「クロルピリホス」など、有機リン系の薬剤です。
ところが、有機リン系の薬剤はシックハウス症候群の原因になるとして、建築基準法の改正により、2003年に使用禁止となりました。
以上のような背景から、より安全な薬剤の開発が進み、それ以降も多くの薬剤が登場しています。
そして、現在シロアリ駆除で使用されている代表的な薬剤といえば以下のものが挙げられます。
- ネオニコチノイド系
- フェニルピロール系
- フェニルピラゾール系
- ピレスロイド系
- カーバメート系
- ホウ素系
これら薬剤は、臭いが少なく、揮散しにくい性質があるため、基本的に空気汚染を心配する必要がありません。
シロアリ駆除薬剤の認定制度について
現在、シロアリ駆除で使用されているのは、「公益社団法人日本しろあり対策協会」の適正な審査を経て認定された薬剤になります。
この認定制度は、「公益社団法人日本しろあり対策協会」が安全性や効力を評価することで、一般消費者や作業者が安心して使用できる薬剤の普及を目的としています。
シロアリ駆除薬剤が認定を受けるまでの大きな流れは以下の通りです。
- 外部機関へ申請
- 外部機関による審査
- 日本しろあり対策協会へ審査結果の報告
- 日本しろあり対策協会による認定審査
- 認定書の交付
以上のように、然るべき外部機関で行われる審査で安全性が証明されたものについて、さらに「公益社団法人日本しろあり対策協会」の認定委員会が総合的に審査を行っています。
つまり、安全性について、一定の評価を得た薬剤だけを認定する仕組みとなっているのです。
シロアリ駆除薬剤のSDS(安全データシートについて)
SDSとは、「安全データシート(Safety Data Sheet)」の略称で、危険物や化学物質の取扱いに関する情報を記載した文書のことです。シロアリ防除剤に関するSDSには、以下のような情報が含まれることが一般的です。
- 製品の識別情報:製品名、メーカー名、製品コードなどの情報が含まれます。
- 成分情報:製品中に含まれる成分とその濃度が記載されています。特定の成分が人体に有害である場合、その成分の濃度に基づいて使用上の注意が記載されることがあります。
- 危険性情報:製品が引き起こす危険性に関する情報が記載されています。例えば、吸入による健康被害、皮膚刺激、眼の刺激、環境への悪影響などが含まれます。
- 使用上の注意:製品の使用にあたって注意すべき点が記載されています。例えば、適切な換気を行うこと、適切な保護具を着用すること、飲食物や動物飼育場所から遠ざけることなどが含まれます。
- 応急処置:万が一製品が体内に入ってしまった場合に取るべき処置が記載されています。例えば、吸入した場合は新鮮な空気を取り入れること、目に入った場合は15分間水で洗い流すことなどが含まれます。
- 消防処置:製品に関する火災に対する消火方法が記載されています。
SDSは、製品の取り扱いにあたって必要な情報を提供してくれる重要な文書です。シロアリ防除剤のSDSを確認することで、製品の成分や使用方法について正確に把握し、適切な取り扱いが行えるようになります。
シロアリ駆除剤のLD50とは
シロアリ駆除剤のLD50とは、その成分による半数致死量を示す指標です。一般的にはラットやマウスなどの実験動物を用いて算出され、LD50が小さいほど、その成分は毒性が高いとされます。
ただし、LD50は単純な指標であり、実際の人体に対する危険性を完全に表すものではありません。実際の使用方法や環境条件によって、LD50よりも低い量でも健康被害を引き起こす可能性があります。
また、人が一日に摂取しても安全だとされる、駆除剤の成分に対する上限値をADI(Acceptable Daily Intake、許容摂取量)と言います。
したがって、シロアリ駆除剤を使用する場合には、ADIやLD50を含めた成分情報やSDSを十分に確認し、適切な取り扱いを行うことが必要です。
化学物質過敏症の方がシロアリ駆除を行うリスクについて
化学物質過敏症とは
化学物質過敏症は、化学物質に対して過剰反応を示す病気であり、症状は多岐にわたり、例えば蚊取り線香や、洗剤、建材などに使われる接着剤などに過剰反応が出るケースがあります。
シロアリ駆除剤にも人体に有害な成分が含まれる場合があり、そのため化学物質過敏症の方がシロアリ駆除を行うことによって、さらに症状が悪化する可能性があります。
化学物質過敏症の方がシロアリ駆除を行うには
化学物質過敏症の方がシロアリ駆除を行う場合には、以下の点に留意する必要があります。
- 使用する駆除剤に含まれる成分を事前に確認する。
- かかりつけの医師に相談する。
化学物質過敏症の方が注意する点
シロアリ駆除剤によるリスクを低減するために、天然成分の除虫菊やホウ酸などの薬剤を使用する方法があります。
しかし、床下での作業を行う際には、床下で発生しているカビやほこりが室内に流れ込む可能性があるため、その部分に対しても、注意が必要です。
ペットに対するシロアリ薬剤の安全性
犬、猫にとってシロアリ薬剤は安全?
使用する薬剤や方法によって異なりますが、犬、猫などの哺乳類のペットに対する安全性に関しては、安全性が高いとされております。しかし、犬や猫は鋭い嗅覚や味覚を持っているため、薬剤を嗅いだり、舐めたりする可能性があるため、注意が必要です。
駆除を行う場合は、薬剤に接触しないように、トイレやエサなどを移動し、換気をよく行ったうえで、2~3日間は駆除を行ったエリアから遠ざけることが望ましいです。
また、万が一、ペットが不安や異常な症状を示す場合には、すぐに獣医師に相談することが必要です。
魚にとってシロアリ薬剤は安全?
一般的に、シロアリ駆除薬剤は、魚に対する毒性(魚毒性)が高いといわれています。
魚を飼われている場合は、水槽の位置を移動したり、養生をすることで、薬剤がかからない様にする処置が必要です。
人やペットに安全とされるネオニコチノイド薬剤について
シロアリ駆除で主に使用されるネオニコチノイド系薬剤は、昆虫に有害である一方、人やペットには安全です。建物内に拡散しにくく、匂いも少ないため扱いやすいです。
ただし、農薬として使用される場合、環境への影響が懸念されています。他の薬剤には、フェニルピロール系やピレスロイド系などがあり、それぞれ特徴と注意点がありますが、最適な薬剤を選ぶためには、各薬剤のメリットとデメリットを理解することが欠かせません。
詳細は下記の記事をご覧ください。
まとめ
現在、シロアリ駆除に使用されている薬剤は、安全性の高いものになります。
なぜなら、安全性や効力について過去からの事実を積み重ね、適切に見直しが図られた結果として認定を受けた薬剤であるためです。
ただし、安全性が高いとはいえ、使用する薬剤に定められている用法や用量が守られなければなりません。また、家庭ごとに異なる環境に適した方法で行うこともポイントとなります。
よって、シロアリ駆除は、十分な効果を得るためにも信頼できるプロの業者へ依頼することが重要なのです。シロアリ駆除を検討している方は、お気軽にご相談ください。