※2026年7月更新:ドミノ効果がシロアリの種類によって働き方が変わることについて、研究データと現場の知見をもとに追記しました。
シロアリ駆除で使用されている薬剤には、さまざまな種類があります。
それらのなかでも「ドミノ効果」を有している薬剤は、駆除効果が高いとされています。
では、「ドミノ効果」とは、いったいどのような効果をいうのでしょうか?
また、数多いシロアリ駆除の薬剤のなかで「ドミノ効果」が期待できるのは、どのような種類でしょうか?
そこで今回は、「ドミノ効果」とはどのような効果なのか、そしてシロアリ駆除の薬剤で「ドミノ効果」が期待できるのはどのような種類なのかなど、詳しく解説いたします。
【目次】
Toggleそもそもドミノ効果とは?
そもそもドミノ効果とは、あるひとつの事象が起こると、ドミノ倒しのように次々と連鎖的に生じることをいいます。
そして、シロアリ駆除におけるドミノ効果は、ある個体に薬剤を巣まで持ち帰らせ、他の個体へ次々と伝播させることを狙ったものです。
そのため、ドミノ効果が働くと、建物内だけでなく、巣にいる仲間たちにまで影響を与え、場合によっては全滅を図ることも可能になります。
シロアリ駆除の薬剤でドミノ効果を発揮する要素
シロアリ駆除の薬剤でドミノ効果を発揮するには、一定の要素を備えていることが必要となります。
その代表的な要素とは、以下の通りです。
- 非忌避性
- 遅効性
非忌避性
非忌避性とは、嫌がって避ける性質を有していないことをいいます。
シロアリ駆除の薬剤には忌避性のものと非忌避性のものに分けられますが、非忌避性の薬剤はシロアリが嫌がらないため、気付かれないうちに駆除を進められます。
一方で、忌避性のものは、シロアリが嫌がって近付かなかったり、あるいは触れると死んでしまったりすることから、巣にいるその他大勢の仲間たちに影響を及ぼすことはできません。
遅効性
遅効性とは、薬剤の効果が遅れて発揮されることをいいます。
遅効性を有する薬剤は、薬剤を巣まで持ち帰らせた後に効き始めるため、伝播による駆除が期待できます。
一方、即効性の薬剤は、直ちに効果を発揮してその場で死んでしまうことから、巣にいるその他大勢の仲間たちに影響を及ぼすことはできません。
シロアリの習性がドミノ効果に有利
シロアリは、土の中に巣をつくって集団で生活をしていますが、「グルーミング」を行う習性がドミノ効果を生じさせる要素のひとつとなっています。
シロアリの「グルーミング」とは、お互いに体を舐め合う行動のことをいい、これは、唾液の殺菌力によって体を清潔に保つことがおもな目的とされています。
そのため、非忌避性の薬剤であれば、体に付着していても気付かないまま巣まで持ち帰り、「グルーミング」による接触でドミノ効果が生じるわけです。
ドミノ効果が期待できるシロアリ駆除の薬剤とは
多くの種類があるシロアリ駆除で使用する薬剤のなかで、ドミノ効果が期待できるものといえば、非忌避性と遅効性を備えた種類となります。
シロアリ駆除でドミノ効果が期待できるおもな薬剤について、簡単にご紹介いたします。
ネオニコチノイド系薬剤
ネオニコチノイド系薬剤の薬剤は、シロアリ駆除の薬剤として最も一般的に使用されているものです。
ニコチンに似た成分からつくられており、昆虫には毒性を発揮する一方で、人などの哺乳類に対しては高い安全性が確保できるとされています。
忌避性がなく、また遅効性であるため、警戒を与えることなく巣へと持ち帰らせ、ドミノ効果による駆除が期待できます。
なお、ネオニコチノイド系薬剤に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
フェニルピラゾール系
フェニルピラゾール系の薬剤は、毒性が高く、シロアリの神経伝達を阻害するなど、少量でも優れた駆除効果を発揮します。
忌避性がなく、また遅効性であるため、優れたドミノ効果を発揮して、巣にいる仲間たちへの伝播が期待できます。
フェニルピロール系
フェニルピロール系の薬剤は、呼吸障害を起こさせるなど、強い毒性による殺虫効果を発揮します。
忌避性がなく、また遅効性であるため、優れたドミノ効果を発揮して、巣にいる仲間たちへの伝播が期待できます。
【重要】ドミノ効果はシロアリの種類によって働き方が変わります
ここまでドミノ効果についてお伝えしてきましたが、必ず知っておいていただきたい前提があります。
ドミノ効果を示す実験データの多くは、イエシロアリのコロニーを用いて得られたものだという点です。イエシロアリは大きな単一の巣をつくり、餌を巣に持ち帰って仲間に分け合う性質が強いため、薬剤の成分がコロニー全体に広がりやすいのです。
実際、学術研究では、ベイト剤を設置してから4週間後に捕獲したイエシロアリの職蟻のうち74%に薬剤の成分が確認され、巣の活動量が11週間後には巣のない状態と同じ水準まで低下したことが報告されています。
日本の被害の大半はヤマトシロアリです
ところが、日本の住宅被害の大半を占めるのはヤマトシロアリです。そしてヤマトシロアリは、イエシロアリのような明確な単一の巨大コロニーを持たず、分散して生息しています。
さらにヤマトシロアリは、生物として臆病な性質を持っています。シロアリ研究に携わる方から伺った話ですが、薬剤によって周囲の生息数が減りはじめると、ヤマトシロアリは危険を察知して蟻道そのものを遮断してしまうことがあるそうです。そうなると、薬剤はそれ以上先へ運ばれません。
つまり、ヤマトシロアリに対しては、期待したようにドミノ効果が働くとは限らないのです。
だからこそ私たちは、シロアリの侵入経路そのものを断つ土壌処理を対策の軸に置いています。公益社団法人日本しろあり対策協会の防除施工標準仕様書でも、北海道を除く全国が「土壌処理を行う」地域に区分されています。
ドミノ効果という言葉だけで工法を選ぶのではなく、お住まいにいるのがどの種類のシロアリなのかを見極めることが出発点です。まずは無料の床下点検で、状況を確認させてください。
まとめ
シロアリの駆除を行う際に使用する薬剤は、ドミノ効果が期待できるものを採用すると、巣にいる仲間たちに対しても影響を及ぼすことが可能となります。
ちなみにホームセンターなどで市販されているシロアリ駆除剤は、そのほとんどが忌避性のものになります。
そのため、目の前にいるシロアリに対しては駆除が行えたとしても、その何十倍にも及ぶ巣にいる仲間たちには効果が期待できません。
そればかりか、逆に警戒を与えてしまい、その後の駆除に支障が生じることもあるのです。
よって、シロアリの駆除を行う場合は、市販の駆除剤を用いるよりも、プロの業者に相談のうえ、状況に適したものを選ぶことをおすすめいたします。
シロアリ駆除を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。





