「シロアリ駆除をしたいけれど補助金が出るのかどうか知りたい」
「なんとかして費用を少しでも抑える方法を知りたい」
このようにシロアリ駆除を考えているけれど、補助金を活用して費用をどうにか抑える方法はないかとお悩みの方は少なくありません。補助金や助成金の利用が可能かどうかについては、お客様にもよく聞かれる質問のひとつです。
本記事では、シロアリ駆除における補助金の可否や費用削減のアドバイスについて、シロアリ駆除業界で30年の歴史を持ち、年間3,000件の施工実績を誇る株式会社ヤマト産業の代表取締役中岡が詳しくご説明します。
下記の動画にも概要をまとめたので、ぜひご覧ください!
【目次】
Toggleシロアリ駆除に補助金は出ない
シロアリ駆除に関する補助金や助成金の存在は、多くの家庭や事業者にとって関心の高い話題です。しかし残念ながら、国や自治体からシロアリ駆除を目的とした直接的な補助金や助成金が提供されている例は現在のところ確認されていません。害虫駆除に関して一部の補助金や助成金が存在するものの、これらは主に公衆衛生を脅かすハエ、ゴキブリ、ダニなどの衛生害虫の駆除に限定されており、シロアリ駆除は含まれていません。
シロアリは、特に木造建築物に深刻な被害をもたらす害虫です。これらの昆虫は建物の構造を弱体化させ、最悪の場合、建物の倒壊につながる可能性さえあります。そのため、シロアリの発見時には迅速な駆除が必須ですが、その費用は全て個人や事業者の自己負担となります。シロアリ駆除の費用は、被害の範囲や建物の大きさ、使用する駆除方法によって大きく異なりますが、一般的には数万円から数十万円の範囲で発生することが多いです。
多くの場合、この費用は高額であるため、シロアリ駆除の実施をためらう人も少なくありません。特に経済的に余裕がない家庭や中小企業では、このような出費が大きな負担となり得ます。さらに、シロアリ被害は見た目ではなかなか発見しづらいこともあり、実際に深刻な被害が明らかになった時には、既に大規模な対策が必要な状況になっていることも珍しくありません。
このような背景から、シロアリ駆除に関する支援がない現状は、多くの人にとって大きな課題となっています。シロアリ駆除にかかる費用を軽減するための補助金や助成金が存在しないことは、対策を躊躇させ、結果としてより大きな被害や費用の発生につながる恐れがあります。したがって、私たちシロアリ駆除業者としても、害虫駆除に関する公的支援の範囲を拡大し、シロアリ駆除も含めてもらいたいと、働きかけをしているところです。
ただし、シロアリ被害を防ぐための改修工事には補助金が出るケースがあるので、次に解説しますね。
シロアリを被害を防ぐための改修工事には補助金が出る
シロアリ被害の予防と修復は、住宅を維持し、長期にわたって快適に暮らすために重要な取り組みです。このため、国は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」という制度を通じて、既存住宅の改修と性能向上を支援しています。この事業の目的は、住宅ストックの質を高め、子育てしやすい環境の整備を促進することにあります。
この制度では、住宅の性能を向上させるリフォーム工事に対して、国から補助金が提供されます。補助対象となるのは、住宅の性能向上を図るための改修工事や、複数世帯が同居しやすくするための工事、インスペクションの費用など幅広いです。
特に注目すべきは、シロアリ被害の予防や修復を含むリフォームが補助の対象になる点です。雨漏りや床下のシロアリ被害、給排水管の劣化などの問題を対象とした調査や、システムバスの設置、床下シロアリ予防策の実施、外壁や屋根の修復、断熱性や省エネ性の向上を目指したリフォームが含まれます。これらのリフォームを行うことで、住宅が一定の基準を満たす場合、最高で100万円の補助金が提供されることになります。
この補助金制度は、新築住宅に適用される「長期優良住宅」の基準に似ていますが、中古住宅やリフォームされた住宅にも適用される点が特徴です。これにより、より多くの家庭がシロアリ被害のリスクを低減し、長期にわたって安全かつ快適な住まいを実現できるようになります。
補助金の支給率について
補助金の支給率は、補助対象のリフォーム工事費などの合計の1/3が補助されます。これにより、リフォームにかかる負担が軽減され、手軽に質の高い住まいを手に入れることができます。
また、補助限度額はリフォーム後の住宅性能によって設定されています。長期優良住宅(増改築)認定を取得しないが一定の性能向上がある場合、補助限度額は100万円/戸(150万円/戸)です。
認定を取得した場合や、認定を取得したうえでさらなる省エネルギー性能向上の工夫がある場合には、それぞれ200万円/戸(250万円/戸)、250万円/戸(300万円/戸)が限度額となります。
補助金の対象について
この制度の対象は、リフォームが必要とされる住宅であり、既存の戸建住宅や共同住宅が含まれます。シロアリ被害を受けた木造戸建住宅や、共同住宅におけるシロアリ被害が確認された場合、この補助金を活用して駆除および補修工事を行うことが可能です。これにより、住宅の長期的な安全性と快適性を保ち、シロアリによる損害を最小限に抑えることができます。
シロアリ被害にあったときは火災保険が適用される可能性がある
あまり知られていない事実として、火災保険がシロアリ被害に適用される可能性があります。特にシロアリ被害が間接的に他の損害、例えば雨漏りによる木材の腐朽など、別の原因に起因する場合は適用される可能性が高いでしょう。
雨漏りが発生し、その結果木材が腐朽すると、その腐朽した木材がシロアリの発生源となることがあります。このようなケースでは、シロアリの直接的な被害よりも、雨漏りによる損害が原因となるため、火災保険の適用範囲となることがあります。
しかし、火災保険の適用を受けるためには、いくつかの条件があります。最も重要なのは、被害が発生する前に木材の腐朽やシロアリの被害が存在していなかったことを証明することです。この証明は、通常、専門家による検査や、保険申請前に撮影された写真などによって行われます。しかし、実際にはこのような証明を集めることが困難であることが多く、多くのケースで火災保険の適用は難しいとされています。
さらに、火災保険の契約内容にもよりますが、一般的には「偶発的な事故」による損害のみがカバーされるため、シロアリ被害が「通常の家屋の経年劣化」や「メンテナンス不足」によるものと見なされる場合、保険の適用外となる可能性が高いです。したがって、シロアリ被害に対する保険適用を当てにする前に、契約の詳細を慎重に確認し、必要に応じて保険会社や専門家に相談することが重要です。
結局のところ、シロアリ被害のリスクを最小限に抑え、潜在的な保険適用の可能性を高めるためには、定期的な建物のメンテナンスと早期の問題発見が鍵となります。これには、定期的な専門家による検査や、シロアリ予防措置の実施が含まれます。また、火災保険契約を結ぶ際には、シロアリ被害を含む様々なリスクに対するカバレッジを検討し、適切な保護を確保することが賢明です。
シロアリ被害は売主や大家の費用負担となる可能性がある
シロアリ被害は、賃貸物件や中古物件の取引において大きな問題となることがあります。シロアリ被害が発生した際には、誰が駆除費用を負担するか?が気になるところ。一般的に、賃貸物件では大家や管理会社が、中古物件では売主がその費用を負担することになるケースが多いですが、具体的な状況によっては異なるので少し補足しておきますね。
賃貸物件でシロアリ被害にあった場合
賃貸物件では、契約書の内容が非常に重要です。多くの場合、物件の維持管理責任は大家や管理会社にあり、これにはシロアリ駆除も含まれます。
ただし、借主の過失によってシロアリの発生が招かれた場合、例えば、適切な清掃や湿度管理を行わなかった結果、シロアリが発生したケースは、借主にも一定の責任が及ぶ可能性があります。そのため、シロアリの発生を発見した際には、速やかに管理会社や大家に通知し、適切な対応を相談することが重要です。
中古物件でシロアリ被害にあった場合
中古物件の取引においては、「契約不適合責任」がキーポイントになります。これは、売買契約の締結時に売主が提供した物件が契約時に説明された状態と異なる場合、売主がその差異を補償する責任を負うというものです。シロアリ被害が後から発覚すると、売主は駆除費用を負担する義務が生じる可能性があります。
ただし、シロアリ被害を知った後、1年以内(不動産会社が売主の場合は2年以内)にその旨を売主に通知しなければならないという条件があります。また、契約書にシロアリ被害の免責事項が明記されている場合、売主の責任を問うことは難しくなります。
これらの点から、シロアリ被害に関する責任の所在は、契約の内容や事実の経緯によって大きく変わることがわかります。賃貸物件を借りる際や中古物件を購入する際には、契約書を慎重に確認し、必要であれば専門家のアドバイスを求めましょう。
もちろんシロアリ被害のリスクを事前に把握し、可能な限り予防策を講じることも、トラブルを避けるために重要な対策となります。
シロアリ駆除の費用は雑損控除の対象
シロアリ駆除の費用が安くなるわけではありませんが、シロアリ駆除の費用は雑損控除の対象のため、確定申告をすることで払いすぎた所得税が還付される可能性があります。
所得税法施行令第9条において、「害虫その他の生物による異常な災害」とされる害虫被害には、シロアリ被害も含まれます。このため、シロアリ駆除にかかる費用は雑損控除の対象となり、税金の還付を受けることができます。
所得税法施行令第206条第1項第3号によれば、雑損控除の対象には「被害の拡大や発生防止のための緊急的な措置に基づく支出」が含まれます。つまり、シロアリ被害の拡大を防ぐために行った駆除作業や発生予防のための支出が、雑損控除の対象とされます。例えば、住宅内でのシロアリの発生を防ぐべく、専門業者による予防処置を行った場合、その費用は雑損控除の対象となります。
ただし、雑損控除は年末調整では適用できません。確定申告において自ら1年の所得を確定させる際に、雑損控除の手続きを行う必要があります。この際、会社の年末調整で所得税が還付されていたとしても、確定申告において雑損控除を適用すれば、追加で所得税が還付されることになります。
一方で、シロアリ被害の発生を防ぐための予防措置にかかる費用は、雑損控除の対象外です。雑損控除は、被害の拡大や発生を防ぐための緊急的な措置に基づく支出が対象とされますが、将来的なシロアリ被害を防ぐために行った予防措置はこれには含まれません。たとえば、現在シロアリ被害の可能性が低い場合であっても、将来的なリスクを考慮して予防処置を講じる場合、その費用は雑損控除の対象外となります。
シロアリ駆除の雑損控除についてこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、シロアリ駆除における補助金の可否や費用削減のアドバイスについてお伝えしてきましたが、ややこしかったですよね。長くシロアリ駆除をしている私でも、大変でした(笑)
以下にポイントをまとめておきますね。
- 補助金や助成金の可否:
残念ながら、シロアリ駆除を目的とした直接的な国や自治体の補助金や助成金は現状提供されていません。公衆衛生を脅かすハエ、ゴキブリ、ダニなどの衛生害虫の駆除には一部の補助が存在しますが、シロアリ駆除は対象外です。 - 改修工事に対する補助金:
シロアリ被害の予防や修復を含む改修工事には、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を通じて補助金が出る場合があります。この制度は、既存住宅の性能向上や長寿命化を目指すリフォームに対して、国から補助金を提供しています。 - 火災保険の可能性:
シロアリ被害が他の損害、例えば雨漏りによる木材の腐朽から発生した場合、火災保険が適用される可能性があります。しかし、適用を受けるためには、被害発生前に腐朽やシロアリの被害がなかったことを証明する必要があり、実際に保険が適用されるケースは限られています。 - 費用負担の可能性:
賃貸物件や中古物件において、シロアリ駆除費用は売主や大家が負担するケースがあります。賃貸物件では大家や管理会社が、中古物件では売買契約の不適合責任に基づき売主が費用を負担することが一般的です。 - 雑損控除の適用:
シロアリ駆除費用は、雑損控除の対象となる可能性があります。これにより、確定申告を通じて払い過ぎた所得税の一部が還付される可能性がありますが、予防措置にかかる費用は対象外です。
シロアリ駆除に関する補助金や助成金の直接的な提供は限られているものの、改修工事の補助、火災保険の可能性、賃貸や中古物件の取引における費用負担、雑損控除の適用など、費用を抑えるための様々な方法が存在します。これらの情報を活用することで、シロアリ駆除にかかる経済的負担を少しでも軽減することが可能です。
自分でシロアリ駆除をしても、なかなかうまくいかず、またすぐに被害にあってしまうケースが少なくありません。京都・奈良・大阪にお住いの方はヤマト産業まで、お気軽にご相談ください。