家を新築して数年経ったとき、ふと気づいた床のきしみ……。
それはシロアリの仕業かもしれません。大切な家を長持ちさせるためにも、シロアリ対策は避けて通れない問題です。日本は湿気が多いので、乾燥しているヨーロッパと違い、歴史的にシロアリに悩まれてきました。
しかし、いざシロアリ駆除を考えたとき、どの業者を選べばいいのか、どんな方法が効果的なのか、どれくらいのコストがかかるのか、調査方法は?薬剤の安全性は?施工方法は?など、さまざまな疑問が頭をよぎりますよね。
京都の宇治に本拠地を置く株式会社ヤマト産業はシロアリ駆除歴30年。京都の由緒ある寺社仏閣を含む1000件以上の施工実績を持ち、毎年3000件もの施工を手がけています。
今回は同社の取締役、中岡がシロアリ駆除の薬剤、価格、効果的な施工方法の比較を中心に解説します。あなたの家をシロアリの脅威から守るためにも、正しい知識と情報で備えてください。
【目次】
Toggleシロアリ駆除の基本的な知識
シロアリは、その小さな体からは想像もつかないほどの大きなダメージを私たちの住まいに与えます。家の木材を食べて生活するこれらの昆虫は、放っておくと家全体の強度を著しく低下させ、最悪の場合、台風などの災害で崩壊することもありえないことではありません。
特に日本は、湿気が多いのでシロアリの繁殖にとって絶好の環境なんですね。
シロアリの生態
シロアリの種類にはいくつかありますが、共通しているのは、群れを成して生活し、コロニーと呼ばれる巣を形成することです。個体数は、数千から数百万匹。これらのコロニーが一度家に定着すると、駆除は非常に困難になります。シロアリの生態については、以下の記事も参考にしてください。
シロアリ駆除の必要性
シロアリによる被害は、床のきしみや、畳の食害など、目に見える損傷だけで判断してはいけません。なぜなら、シロアリは木材内部を食い荒らすので、すでに表面化している場合、建物の構造的な安全性が脅かされている可能性が高いのです。4~6月に羽アリを見かけた時も、要注意。羽アリがいるということは「クロアリ」である可能性もありますが、シロアリの食害が進んでいるケースも多いのです。
さらに、シロアリ被害は一部のケースを除き、保険の適用外であることが多く、被害が進行すればするほど修復コストも増大します。
このようなリスクを避けるためには、早期発見と迅速な対応が欠かせません。とはいえ、業者に依頼しようにも、正しい知識と情報がないと、誤った判断をしてしまいかねないのも事実。そこで次章からは、あなたがシロアリ駆除を依頼する際に適切な判断ができるよう、判断材料をご提供していきます。
保険適用については、問い合わせいただくことも多いので、下記を参考にしてください。
シロアリ調査方法の比較
シロアリ被害をその程度から範囲まで正確に把握し、適切な駆除計画を立てるためには、長年の経験に裏打ちされた点検が不可欠です。
しかし、点検サービスを提供する業者によって、点検の範囲、項目、そして報告の方法が大きく異なります。ある意味、自然相手ですので、旅行前のチェックリストのようにはいきません。経験値が浅いと、見落としやエラーが発生する可能性がありますので、ぜひ以下について知っておいて下さい。
シロアリ点検の範囲
一般的にシロアリ点検では、床下のチェックが中心となりますが、被害が疑われる床上の箇所も重要です。床下の詳細な調査では、シロアリの被害状況のほか、被害の原因となる湿気や構造上の問題も評価されます。
一方で、一部の業者は床下調査を行わずに見積もりを提出することもあり、これはお客様にとって不十分なサービスと言わざるをえません。私たちに言わせれば、車の修理で、エンジンをチェックしないようなものなのです。
シロアリ点検の項目
効果的な点検では、シロアリの被害だけでなく、その他の住宅の健康状態もチェックされます。これには、配管の水漏れ、断熱材の落下、湿気によるカビや腐朽、基礎のクラックなどが含まれます。
一見、シロアリ被害とは関係ないのでは?と思われるかもしれません。しかしこれらは、住環境にとって重要な点検項目であり、シロアリが侵入する原因となる可能性がありますので、将来的なシロアリ被害を予防するためにもとても重要です。
シロアリ調査報告の方法
点検後の報告方法も業者により大きく異なります。
親切な業者であれば、カメラで撮影した画像をテレビやタブレットを通じて詳しく説明し、状況を可能な限りわかりやすく、具体的にお客様に提示してくれるでしょう。シロアリ被害は、表面化していないことも多いので、目に見える形でお伝えすることで、お客さまも納得していただきやすいと思います。
逆に、具体的な報告を行わない業者も存在します。断言はできませんが、明確な根拠を示さず、口頭で被害が発生していることを伝える業者は悪徳業者の可能性があります。もし、画像などを提示されず、口頭のみで説明された場合は、どのような状況か、詳細な説明を求めましょう。
ヤマト産業の点検プロセス
なお、私たちヤマト産業では、床下だけでなく床上、さらに雨漏りの恐れがある場合はバルコニーや外壁までを診断します。点検は全ての不具合を把握し、それに対する最適な対策を提案するために、上記の全点検項目をすべてカバーしています。
もちろん、すべての点検結果はカメラで撮影し、タブレットを使用して詳細に説明します。お客さまには何より、安心していただきたいと考えるからです。より具体的な調査の流れについては、下記の記事をご覧ください。
シロアリ駆除の薬剤について比較
シロアリ駆除には様々な方法がありますが、その中心となるのが薬剤の使用です。薬剤について正しい知識を知っておくと、悪徳業者に騙されるリスクを軽減できます。
ここでは、主に使われる「殺虫剤」と「誘引剤」の二つのタイプに分けて、それぞれの特性と適用時の考慮点について解説しますね。
殺虫剤の特徴と利点
殺虫剤は、シロアリを直接的に殺すことに特化しています。これには接触毒や食毒があり、シロアリがこれらの薬剤に触れるか、摂取することで効果が発揮されます。速効性が高いため、被害が急を要する場合や、すでに大きな被害が見られる場合に特に推奨されます。
その中でもネオニコチノイド系薬剤・フェニルピラゾール系薬剤は忌避性がなく、薬剤量が少量で、薬剤成分の残効性が5年以上と長い為、現在最も使われている薬剤となります。
また、ホームセンターで売られている多くの殺虫剤は「合成ピレスロイド系薬剤」で即効性がありますが、残効性が無く、忌避性があるため、木材の中に発生しているシロアリを駆除するのは困難となります。
誘引剤の特徴と利点
一方で誘引剤(ベイト剤)は、シロアリが薬剤を巣に持ち帰り、巣全体(コロニー)に影響を与える方式を取ります。
この方法は、コロニーを根絶することを目的としております。脱皮を阻害する作用を持つ薬剤なので、脱皮をしない人間にはとても安全性の高いのが特徴です。
特に、特定のコロニーをもつイエシロアリには有効で、誘引剤は、効果が現れるまで時間がかかるものの、一度効果が表れれば、効率的に駆除することができます。
一方、特定のコロニーを持たないヤマトシロアリの駆除施工には、あまりお勧めできません。
適切な薬剤の選択
シロアリの活動範囲、被害の程度、建物の構造などを考慮した上で、どの薬剤を選択するかが駆除計画の成否を左右します。例えば、すでに広範囲に被害が及んでいる場合は殺虫剤を初期処理として用い、その後で誘引剤による長期管理を計画するなどが考えられます。
このように、シロアリ駆除における薬剤の選択は、ただ単に最も強力なものを選ぶのではなく、状況に応じた最適な戦略を立てることが重要です。薬剤の安全性について不安のある方は、下記をご参考ください。
シロアリ駆除の価格比較
シロアリ駆除を検討する際、多くの家庭が気にされるのは「コスト」でしょう。
まず、重要なことをお伝えすると、シロアリ駆除サービスの価格は、業者や選択する施工方法によって大きく異なります。一般的に1階床面積が50平方メートルの場合、シロアリ駆除の価格帯は50,000円から100,000円程度とされていますが、この範囲内でも様々なオプションが存在します。
施工方法による価格差
シロアリ駆除の方法には、建物内部への木材処理 、土壌処理を行う通常の防蟻処理や、ベイトシステムなどがあります。通常、土壌処理や木材処理は同時に行われますが処理範囲が家全体にわたるため、一度の施工コストが高くなる場合があります。
価格表示としては㎡/円もしくは坪/円と表示され、坪単価は6000円~8000円程度が一般的です。
一方、ベイトシステムは維持管理型システムと呼ばれ、初期コストは薬剤散布よりも低くなる傾向がありますが、毎年の点検やベイト剤の入れ替えの保守コストを考えると作剤散布よりもコストが高くなる傾向があります。
価格表示としてはメートル/円と表示され、単価は1mあたり4000円~6500円程度が一般的ですが、毎年の保守費用が掛かります。
業者による価格と品質の違い
安価な料金を提示する業者も多いですが、施工方法や使用する薬剤の質が異なるため、価格だけで業者を選ぶのは危険です。例えば、低価格のサービスでは、必要な前処理や後処理が省略されることがあり、結果的にトータルコストが増えることも。また、使用される薬剤の安全性や効果の持続期間についても、しっかりと確認することが重要です。
品質と信頼性を考慮した選択
シロアリ駆除は、単にシロアリを排除するだけでなく、将来的な被害を防ぐためにも重要な投資です。そのため、価格のみならず、業者の評判、提供するサービスの質、顧客サポートの充実度など、総合的な観点から業者を選ぶことが重要です。
価格と品質のバランスを見極めることで、最適なシロアリ駆除プランを選択することができます。今回は、シロアリ駆除に際しての基本的な比較軸をお伝えするため詳しくは述べませんが、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。
シロアリ駆除の施工方法の比較
ひとくちにシロアリ駆除といっても、その施工方法には多様な工法があり、選択する工法は建物の状況やシロアリの被害の程度によって、あるいは業者の考え方によっても大きく異なります。大きく分けると、
1.公益社団法人日本しろあり対策協会によって認定された工法
2.薬剤メーカーが独自に開発した工法
があります。
とても残念なことですが、業者によっては、単価を上げるため不要な施工を行い、見積もりを上乗せする悪徳業者もいますので知識で備えていただくことを強くお勧めします。
主な日本しろあり対策協会認定工法
一般の方に、すべての施工方法をお伝えしても、かえってわかりづらくなるだけですので、公益社団法人日本しろあり対策協会によって認定された施工方法をご紹介します。
- 新築建物しろあり予防処理:
新築時に施工することで、将来的なシロアリ被害を防ぎます。 - 既設しろあり防除処理:
既にシロアリの被害がある建物に対して行われる処理で、最も一般的な施工方法です。 - 維持管理型しろあり防除工法(ベイト工法):
シロアリを誘引して駆除する方法で、長期間にわたる管理が可能です。 - 土壌表皮膜形成工法、泡発泡工法、土壌表面シート埋設工法、パイプ吹付工法、粒剤による土壌処理法:
これらは土壌や建物の特定の部分に特化した施工方法であり、状況に応じて選択されます。
上記の中でも最も多く施工されているのが、既設しろあり防除処理と新築建物しろあり予防処理になります。通常、液状施工を行うことが多く、半分以上の業者が上記の処理方法を採用しています。
薬剤メーカーの独自工法
次に、薬剤メーカーが独自に工法を定めているシロアリ駆除の施工法をご紹介します。
- 外周施工(トレンチドレンチ):
建物の外周に溝を掘り、薬剤を散布する方法です。 - 外周パイプ工法(タームガード):
建物の外周にパイプを設置し、薬剤を注入することでシロアリを防ぐ方法です。
これらの工法はそれぞれ異なる効果を持ち、適用する建物の条件によって最適な方法が異なります。
ヤマト産業の施工基準
しろあり駆除をおこなう会社で大きく分けると
・液状施工でシロアリ対策を行う会社
・ベイト工法を積極的に取り扱う会社
・ホウ酸を取り扱う会社
に分かれます。上記の工法はそれぞれ効果が違うため、お家の状況によって正しく判断しなくてはいけません。
私たちヤマト産業では、以下の基準に基づいて最適なシロアリ駆除方法を提案しています:
- 発生済みのシロアリ被害がある場合:
液状施工を推奨。直接被害箇所に薬剤を注入し、迅速に被害を抑制します。また、建物全体に薬剤散布を行うことにより、シロアリの侵入を予防します。 - 予防工事としての薬剤散布が必要な場合:
液状施工で建物全体に予防処理を行います。 - 液状施工が困難な場合(例:床下に侵入できない建物、薬剤使用に抵抗がある場合):
ベイト工法または外周施工を選択します。 - シロアリの発生はないが、予防としてノンケミカルを希望する場合:
ノンケミカルの薬剤またはホウ酸を使用した処理を推奨。
当社では、ベイト工法をあまりお勧めしていません。なぜなら、床下に入り、直接被害場所を確認し駆除できる液状施工に比べて、ベイト工法は物理的工法になるため繁殖の多いシロアリを根絶することは難しいと考えるからです。
また、ホウ酸に関しても、すでにシロアリが発生している場合、床下環境に水分が多く含まれることが多く、水によわいホウ酸では駆除施工にはあまり向いていないと考えます。
適切な施工方法の選択
適切な施工方法を選択するには、現在の建物の状況とシロアリの被害の程度を正確に評価する必要があります。専門の業者による詳細な調査後、最も効果的でコスト効率の高い方法を選ぶことが重要です。
なお、優良な業者であれば、無償で床下診断などしてくれるでしょう。シロアリの被害状況を正確に把握し、適切な施工方法を選択するには、自分で判断せず、プロに任せた方が失敗がありません。関西エリアにお住まいの方は、私たちヤマト産業が駆け付けますので、是非ご連絡ください。
アフターサービスの比較
シロアリ駆除を行った後のアフターサービスは、施工業者によって大きく異なります。このサービスは、将来的なシロアリの発生を防ぎ、長期にわたる建物の保護を提供するために重要ですので、業者にしっかり確認をしてください。
アフターサービスの種類
シロアリ駆除業者のアフターサービスとしては、以下3つの対応に分かれます。
- 保証なし:
業者によっては、保証を全く提供しない場合があります。サービス内容がいくら安価でも、シロアリ駆除は100%確実に駆除できるものとは限らず再発もしやすいため、保証なしの業者は避けた方が良いでしょう。 - 限定的保証:
保証書を提供するものの、顧客からの連絡がない限り積極的なフォローアップは行われません。保証期間内に何か問題が発生した場合のみ対応します。あまり親切とはいえない補償内容です。 - 定期点検付き保証:
保証期間内に定期的な点検を数回実施し、シロアリの再発防止と早期発見に努めます。シロアリは再発する可能性も否定できません。また、長く安心して暮らすためにも、建物を長期にわたって保護するためにも効果的です。
保証の詳細
保証がついている場合でも、その詳細について、できれば知っておいた方が良いでしょう。
- 施工保証のみ:
施工した作業に対する保証で、一定期間内に同じ問題が再発した場合に限り、無償で修正または再施工を行います。 - 賠償保険付き保証:
施工保証に加えて、賠償保険が付いているため、万が一の大きなトラブルに対しても補償が得られます。このタイプの保証は、お客様にとってもっとも安心できると思います。
多くのケースで、業者が一度工事を完了すると、特に顧客からの問い合わせがない限り、自発的なサポートは提供されません。私どもとしては誠に残念ですが、不親切な業者が多いのはこの業界の大きな課題です。
そのため、契約前にどのようなアフターサービスが提供されるのかを詳しく確認することが非常に重要です。
ヤマト産業のアフターサービス
なお、私たちヤマト産業では、予防工事では賠償保険付きの施工保証、駆除工事では施工保証書を提供しています。どちらも、保証期間内に定期的な点検を行いますので、保証期間内に万が一シロアリが再発しても、お客様にかかる損害を最小限に抑えることができます。一度ご縁をいただいたお客様とは長期的に良いお付き合いできるよう、建物を長期にわたって守り続けることを約束します。
まとめ
この記事では、シロアリ駆除の基本から、各種薬剤の比較、価格の違い、そして最適な施工方法について詳しく解説しました。シロアリは見えないところでじわじわと家を蝕み、放置すればするほど大きなダメージを与えるため、早期の対策が非常に重要です。
以下に、重要なポイントをまとめますね。
- 調査方法:
詳細かつ明確な床下調査を行う業者を選ぶことで、シロアリの被害を的確に把握し、適切な駆除計画を立てることができます。透明性の高い報告方法を提供する業者は信頼性が高いと評価できます。 - 薬剤の選択:
殺虫剤は即効性がありますが持続性に欠け、誘引剤は巣全体の根絶に時間がかかるものの、長期的な効果が期待できます。 - 価格と品質:
シロアリ駆除の価格は業者や施工方法によって異なりますが、安さだけでなく施工の品質や業者の信頼性も重要です。 - 施工方法:
新築や既設の建物に応じた多様な駆除方法が存在し、それぞれに最適な時と場合があります。液状施工、ベイト工法、ホウ酸など、状況に応じた方法の選定が重要です。 - アフターサービス:
長期的な保証や定期的な点検を提供する業者を選ぶことが、将来のシロアリリスクを管理するためには効果的です。保証内容とその期間、点検の頻度は業者選びの決め手となります。
株式会社ヤマト産業では、シロアリの危険性に対処するため、無料で床下診断を実施しています。関西エリアにお住まいの方で、シロアリ被害にお悩みの方、あるいは不安のある方は遠慮なくご相談ください。