シロアリ駆除で使用する薬剤には、多くの種類があります。
現在、広く使用されている代表的なものは「ネオニコチノイド系」の薬剤。時々、お客様からも「どのような特徴があり、他の薬剤との違いは何なのか?」「人やペット、暮らしへの影響はあるのか?」時々、お客様からもご質問いただきます。
京都府宇治市に本拠地を置く株式会社ヤマト産業は、シロアリ駆除歴29年。これまで京都の寺社仏閣や企業をはじめ年間3000件平均で、シロアリ駆除をしてきました。
そこでこの記事では、代表的なシロアリ駆除の薬剤である「ネオニコチノイド系」について、おもな特徴や他の薬剤との違いなどを詳しく解説いたします。薬剤について知ることで、ご自身でも納得してシロアリ駆除対策を業者に任せられると思いますので、ぜひ参考にしてください。
【目次】
Toggleネオニコチノイド系薬剤の特徴や注意点
現在、シロアリ駆除で使用される薬剤でもっとも広く普及しているのが、ネオニコチノイド系。まずは、ネオニコチノイド系薬剤とはどのようなものなのか、簡単に解説いたします。
ネオニコチノイド系薬剤の特徴
ネオニコチノイド系薬剤は、ニコチンに似た成分をもとにつくられた薬剤です。人などの哺乳類には安全とされている一方で、昆虫に対しては有害となるのが大きな特徴といえます。
シロアリに対しては、神経伝達を阻害することで殺虫効果を発揮します。忌避性を有していない、つまりシロアリが嫌がって逃げないため、ネオニコチノイド系薬剤を散布しても、シロアリは警戒しません。忌避性のある薬剤に比べると、確実に駆除できます。
また、ネオニコチノイド系薬剤は、空気中に蒸発しにくい性質があり、建物内へほとんど拡散することがありません。さらには、低臭性でもあることから、散布後にほとんどにおいを感じないといった点も利点となっています。
まとめると、
- 人や哺乳類には安全だが、昆虫に対しては有害。
- 散布してもシロアリは警戒しない。
- 建物内に拡散しない。
- 匂いもすくない。
以上のような扱いやすさが、シロアリ駆除の薬剤として普及している理由といってよいでしょう。
ネオニコチノイド系農薬の問題について
ただ、注意点もあります。近年、ネオニコチノイド系農薬の安全性について、問題となることがありました。
これは、世界各地で発生していた蜂の大量死や、一部地域における漁獲量の減少が、田畑で散布されるネオニコチノイド系農薬の影響によるものではないかという説です。
EUなどは、ネオニコチノイド系農薬の使用を規制する動きも見られるようになりました。これに対し、農薬メーカーでは一連の事象とネオニコチノイド系農薬に直接的な因果関係があることは立証されていないと反論する意見もあります。
また、農林水産省においても、科学的に安全が確保される農薬だけを登録しているとしています。なお、問題となっているネオニコチノイド系農薬とは田畑に散布するものであり、シロアリ駆除で使用する薬剤のことを指しているわけではありません。
とはいえ、20年間問題なく使用され続けてきたネオニコチノイド系薬剤が、近年開発された新薬などと比べて、極端に新しい薬剤の方が安全だと思い込むのは危険ともいえます。
ヤマト産業としましては、双方の主張がある以上、双方のメリットとデメリットをよく理解した上で薬剤を選定し、お客様に説明を行った上、施工を行うことが大切だと考えています。
シロアリ駆除で使用されるネオニコチノイド系以外の薬剤
過去、シロアリ駆除で使われていたのは、殺虫力は高いものの、人体や環境に影響を与えるものでもあり、その多くは現在使われていません。
使用禁止になった薬剤の歴史を振り返ると、1950年代に主流であった「クロルデン」という有機塩素系の薬剤は、1986年以降、使用禁止となりました。人体や環境に悪影響を与えると判断されたからです。
その後よく使われるようになった「クロルピリホス」という有機リン系の薬剤も、2003年には使用禁止となりました。
薬剤に関しては日々、研究開発が進み、シロアリ駆除の効果だけでなく、人体や環境に影響が及ぶことのない安全な薬剤が使われるようになった経緯があるのです。
なお、薬剤の安全性に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
そして、現在、シロアリ駆除で使用される代表的な薬剤となっているのはネオニコチノイド系のものですが、その他にも多くの種類があります。公平性の観点から、ネオニコチノイド系以外の薬剤についても紹介しておきますね。
フェニルピロール系
フェニルピロール系の薬剤は、シロアリの呼吸障害を生じさせて駆除します。
蒸気圧が低く、空気中には揮散しない薬剤ですが、人畜及び魚類に対し強い毒性を持つため、使用時には注意が必要です。
フェニルピラゾール系
フェニルピラゾール系の薬剤は、シロアリの神経伝達を阻害することで駆除します。
毒性が強く少量でも殺虫効果を発揮すること、忌避性がない(白ありが嫌がらない)ため、緩やかに作用し、優れたドミノ効果が期待できることなどが特徴となります。
ピレスロイド系
ピレスロイド系の薬剤は、シロアリの神経系統を麻痺させることで駆除します。
即効性が高く短時間での効果が期待できるものの、忌避性が高い(白ありが嫌がる)ことなどが特徴となります。
カーバメート系
カーバメート系の薬剤は、シロアリの神経に作用して過剰に興奮させることで駆除します。
除草剤としても使われていることでも知られていますが、シックハウスの原因となる可能性がある点では注意が必要です。
ホウ素系
ホウ素系の薬剤は、シロアリが大量に摂取するとエネルギー代謝ができなくなり、餓死してしまいます。
一方、人などの哺乳類が摂取しても短期間に排泄されることから、安全性の高いとされています。ただし、雨などの水分があると簡単に溶けてしまうことと、安全性にも疑いがあることから、当社では推奨していません。
ヤマト産業が取り扱う薬剤について
ヤマト産業では、上記のうち、いくつかの薬剤を取り扱っていますので、ご紹介しますね。
なお、薬剤の使用に関しては、薬剤ごとのメリットとデメリットをよく理解した上で選定し、お客様に十分な説明を行ったうえで、施工を行っています。少しでも疑問があれば、お問い合わせくださいね。
まとめ
シロアリ駆除で使用される薬剤には多くの種類がありますが、現在の主流はネオニコチノイド系です。効果や安全性、持続性、使いやすさにおいて優秀ではありますが、これからも、より安全で効果の高い薬剤の開発が続いていくでしょう。
ヤマト産業においても、常に最先端の知見や技術を取り入れるとともに、もっとも重要なお客様の安全性に配慮して、精進してまいりたいと思い新たにいたしました。引き続き、お客様に「ヤマト産業さんに頼んでとよかった!」と思っていただけるサービスの提供を心掛けてまいります。
京都・大阪・奈良など関西方面でシロアリ駆除や対策を検討されてる方は、無料診断も行っておりますので、お気軽にご相談くださいね。