住宅を新築する際には、地盤調査を行い、その結果によって基礎の形を検討することが一般的です。
地盤調査の結果、建物を支えることが難しい軟弱な地盤であった場合、杭を打ち込んで建物を支える「杭基礎」とすることがあります。
しかし、「杭基礎」は、軟弱地盤にも安定した建物を建てられるといったメリットがある一方で、デメリットも多くあるため、その点を理解しておくことも重要です。
そこで今回は、軟弱地盤に住宅を建てる際に用いる杭基礎について、とくに気を付けておきたいデメリットを解説いたします。
【目次】
Toggleそもそも杭基礎とは?
そもそも杭基礎とは、住宅の重要構造である基礎の種類のひとつであり、地盤に対して杭を打ち込んで建物を支える基礎のことをいいます。
住宅の基礎は、大きく杭基礎と直接基礎の2種類に分けられ、地盤調査を行い、その結果に応じて決定することが一般的です。
例えば、地盤調査の結果、軟らかく建物を支えることが難しい地盤であった場合は、杭基礎を用いることが多くなります。
なぜなら、地盤が軟らかいと、建物の重さに耐えきれず地盤沈下を生じてしまう可能性があり、杭を打ち込むことによって支える必要があるためです。
一方で、建物を支えるだけの硬さを有している地盤であれば、地盤に対して直接設置する直接基礎を用いることが多くなります。
なお、杭基礎や直接基礎に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
住宅の杭基礎で気を付けておきたいデメリット
住宅を建てる際に行われる地盤調査で、軟らかい地盤であると判定された場合、杭を打ち込んで建物を支える杭基礎とすることがあります。
杭基礎は、軟らかい地盤であっても住宅を建てることが可能となり、そこで暮らす人にとっても高い安全性が期待できる点が大きなメリットとなります。
ところが、杭基礎は、デメリットも多くあるため、それらについても理解しておくことが重要です。
住宅を建てる際、杭基礎で気を付けておきたいデメリットについて解説いたします。
建設コストが高くなる
杭基礎を用いると、工事費が余計にかかってしまうため、建設コストはどうしても高くなってしまいます。
杭工事の費用は、その方法によって大きく異なりますが、かなりのコストアップとなることも少なくありません。
そのため、土地選びの際には、地盤の状態をしっかりと調査したうえで決定することが重要になります。
また、なかには、地盤調査の結果に疑問を感じるといったケースも多く、そのようなときには「地盤調査のセカンドオピニオン」が有効です。
「地盤調査のセカンドオピニオン」とは、すでに行った地盤調査の結果について、第三者の中立な視点から分析し、必要に応じて再調査を行うサービスのことをいいます。
なお、「地盤調査のセカンドオピニオン」に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
不動産価値が下がることがある
杭基礎を用いると、場合によっては不動産価値が下がってしまうことがあります。
というのも、地中に残った杭は、地中埋設物と評価され、また撤去するにも大がかりな作業となるうえ、産業廃棄物として処分する必要があるためです。
よって、いずれ売却する予定があるなら、その際の価格に影響する可能性があることはよく理解しておく必要があるでしょう。
杭が沈下することがある
杭基礎の種類によっては、地盤に状況によっては杭自体が沈下することがあります。
例えば、杭と接する土との摩擦力によって支持する摩擦杭などは、自然災害や時間の経過によって水分が排出されて起こる圧密沈下が生じると、地盤といっしょに杭が沈下することがあります。
そうなると、不同沈下が発生して建物が傾いてしまうおそれがあるばかりか、修復工事も困難になるため注意が必要です。
土壌汚染の原因になることがある
柱状改良によるセメント杭などは、土質によっては土壌汚染の原因になることがあります。
これは、発ガン性物質である「六価クロム」の発生による問題です。
柱状改良は、セメント系固化材と現地の土を混合攪拌して円柱状の補強体をつくりますが、それらの相性が悪いと、「六価クロム」が発生することがあります。
「六価クロム」の発生は、周辺環境へ悪影響を及ぼすおそれがあるため、土地の所有者による浄化の義務が生じます。
また、土壌汚染は、不動産価値の低下を招く原因になってしまうことも少なくありません。
まとめ
住宅を建てる際、地盤が軟弱であれば、杭基礎を用いることで一定の安全性を確保できます。
しかし一方で、デメリットも存在するため、その点を理解しておくことも重要です。
また、地盤調査の方法によっては高い精度が期待できないため、安全を見て、必要以上に厳しい判定となることが多く見られます。
つまり、本来であれば必要のない杭工事が非常に多く行われているのです。
ヤマト産業では、高精度な調査が可能で、杭工事判定を圧倒的に減らせる「表面波探査法」を行っています。
なお、「表面波探査法」に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。