住宅の代表的な基礎構造といえば、大きく「布基礎」と「ベタ基礎」の2種類があります。
近年では、「ベタ基礎」が多く、また「布基礎」が少なくなっている傾向にありますが、一般的に「ベタ基礎」のほうがシロアリ対策には有利とされています。
実際のところ、「布基礎」は、シロアリの侵入を許しやすい構造であるため、効果的な対策を施す必要があることはいうまでもありません。
では、「布基礎」の住宅をシロアリの被害から守るには、具体的にどのような対策が必要になるのでしょうか?
そこで今回は、「布基礎」の住宅をシロアリ対策について、効果の高い方法を徹底解説いたします。
【目次】
Toggle住宅の基礎の種類について
住宅の基礎は大きく、「杭基礎」と「直接基礎」に分類されます。
「杭基礎」とは、軟弱地盤において、地中にある支持層に到達するまで杭を打ち込み、その杭で建物を支える基礎のことをいいます。
一方、「直接基礎」とは、安定した地盤において、コンクリートの土台を設けて建物を支える基礎のことです。 「直接基礎」は、さらに以下の3種類に分けられます。
これらのうち、住宅の基礎としておもに採用されるのは「布基礎」と「ベタ基礎」の2つになります。
住宅の基礎の主流である「布基礎」と「ベタ基礎」とはどのようなものなのか、簡単に解説いたします。
布基礎
布基礎とは、建物の外周部や柱、壁などの下に連続した土台を設ける基礎のことで、おもに「線」で建物を支える構造となります。
そのため、建物の外周部や柱、壁などの下以外の部分に基礎はなく、ベタ基礎よりも材料代が少なく、低コストでつくれることが大きな特徴です。
逆T字型の形状をしており、地耐力に応じてフーチングと呼ばれる底版の幅を広くしたり、または狭くしたりと、変更しながら対応します。
ただし、ベタ基礎と比べて地盤との接地面積は小さくなるため、沈下に対する抵抗力も相対的に劣ることになります。
また、布基礎は、土壌がむき出しとなる部分が多くなることから、シロアリの侵入を許しやすい構造であり、建物を守るには十分な対策を行うことが重要です。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、建物下の全面にコンクリートを敷き詰めた土台を設ける基礎のことで、おもに「面」で建物を支える構造となります。
そのため、布基礎よりも地盤との接地面積が大きく、沈下に対する抵抗力の高い安定した構造をつくれることが大きな特徴です。
ただし、ベタ基礎は、布基礎よりもコンクリートや鉄筋など、多くの材料を使用するため、建設コストは高くなってしまいます。
また、建物下の全面に対してコンクリートを敷き詰めていることから、シロアリを遮断できると思っている人も少なくありませんが、この点は正しいとはいえません。
というのも、ベタ基礎には一定のウィークポイントがあり、シロアリの侵入を許す隙が生じることがあるためです。
シロアリ対策として布基礎より有利ではあるものの、決して被害を受けない構造ではないことは理解しておく必要があります。
なお、ベタ基礎でもシロアリの被害を受ける可能性がある理由については、以下の記事を参考にしてください。
布基礎の効果的なシロアリ対策とは
布基礎の住宅は、建物の外周部や柱、壁などの下に連続した基礎が存在しますが、その他の部分は基本的に土壌がむき出しとなります。
そのため、シロアリの侵入を許しやすい構造であり、建物を守るためにも何らかの対策が必要です。
一般的に行われている布基礎のシロアリ対策といえば、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 防湿シートを敷く
- 土間コンクリートを打設する
- 薬剤を散布して予防する
防湿シートを敷く
防湿シートは、土壌から上がってくる湿気を遮断することを目的として敷設するものです。
床下の湿気は、木材腐朽菌やカビなど、さまざまなトラブルの原因となるため、防湿シートを敷設することで床下の環境改善が行えます。
また、シロアリは、暗くジメジメした場所を好むことから、湿度が少ない環境をつくることは、対策として一定の効果が期待できるかもしれません。
ところが、防湿シートの重ね部や端部に一切の隙間なく敷き詰めることは非常に難しく、わずかな隙間があればいとも簡単に通り抜けてしまうシロアリの対策としては不十分といえます。
実際に、防湿シートを施工した多くの住宅でシロアリ被害が発生していることからも、対策とはなりにくいことは明らかです。
土間コンクリートを打設する
土間コンクリートは、布基礎の土壌がむき出しになっている部分にコンクリートを打設して仕上げる方法です。
土間コンクリートは、メッシュ筋を入れたり、あるいは無筋で行ったりしますが、基本的に構造としての強度が期待できるものではありません。
とはいえ、防湿シートとは異なり、一定の厚さがあること、そして継ぎ目のない仕上がりができることから、湿気の上昇を防ぐには非常に効果的です。
しかし、既存の基礎に対しては、必ず打ち継ぎが生じるため、完全に一体化することはできません。
コンクリートは、打設後に水分が蒸発すると、収縮して表面がひび割れたり、打ち継ぎ部に肌別れが起こったりすることがあります。
また、経年劣化や地震などの揺れによっても同様の症状は起こり得ます。
シロアリは、わずか0.6mmほどの隙間があれば、通り抜けることが可能です。
ベタ基礎であってもシロアリに対してはリスクがあるように、土間コンクリートもシロアリ対策としては不十分といえます。
薬剤を散布して予防する
薬剤の散布は、シロアリの防除に有効な薬剤を侵入経路に散布して侵入を防ぐ方法であり、建物をシロアリから守るうえで最も効果的といえる方法です。
シロアリは、通常土の中で生活しており、エサを求めて移動しますが、わずかな隙間があればいとも簡単に建物内へ侵入します。
しかし、侵入経路である床下の土壌面などに対して薬剤散布による施工を実施すると、シロアリの侵入を効果的に防げます。
というのも、その他の方法とは異なり、シロアリに関する専門的な知見を有する業者が行う対策であり、また長期的な視点から建物を守ることを考えられるためです。
なお、ヤマト産業が行う薬剤散布による施工に関する詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
また、シロアリ対策は決して簡単ではなく、業者によってその効果は大きく異なるため、どの業者へ依頼するのかという点も非常に重要な要素となります。
シロアリ業者の選び方については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
布基礎は、シロアリの侵入を許しやすい構造ではあるものの、効果的な対策を施すことで被害から守れます。
また、シロアリ対策には、さまざまな方法が考えられますが、最も高い効果が期待できるのは薬剤散布による施工です。
ヤマト産業では、30年近くもの経験に基づくノウハウと、安心な自社施工により、シロアリの被害からお客様を守ることを第一に施工を行っています。
シロアリ対策を検討している方は、どのような些細なことでも遠慮なくお問い合わせください。