針状結晶によってボロボロになった束石
「束石が割れている」との相談をいただき床下をチェックしたところ、潰れてしまいそうな束石が見つかりました。
こちらは一見、コンクリートが建物荷重により押しつぶされているように見えますが、原因はそれだけではありません。
このよう現象の原因の一つとして「針状結晶」が関与しています。
針状結晶は束石や基礎にわたるまで、コンクリートを破壊してしまう恐ろしい結晶物です。
しかし、この針状結晶は見た目はカビに見える為、ほとんどの方が、カビとして見逃してしまいます。
今回は、針状結晶により劣化した束石の補強工事について施工例を紹介します。
【目次】
Toggle針状結晶の正体
束石に発生した針状結晶
針状結晶ですが、カビと針状結晶は別物で針状結晶が発生する問題の根本的な原因は、土壌中に含まれる硫化物です。硫化物が水分と反応して硫酸イオンに変化し、毛細管現象によって土壌表面に浸透します。そして、ここで水分が蒸発する際、硫酸イオンは土壌内のナトリウムイオンやマグネシウムイオンと結合し、硫酸ナトリウムや硫酸マグネシウムという化合物を形成します。これらの化合物は、コンクリートの表面に存在するカルシウムイオンと反応し、硫酸カルシウムとして結晶化するのです。
こうして生まれた硫酸カルシウムが、まさに「針状結晶」として視覚的にも現れます。
実際の施工例(束石)
針状結晶による劣化を進行させないようにするには、土とコンクリートを絶縁することが重要になります。下記の手順で施工を行うことにより、針状結晶から束石を守ることができます。
①新たに束石を設置する為、土壌を掘り起こします
②束石のレベル調整と、土壌への接触を防ぐための砕石を敷きます
③防湿シートを敷き、土壌と束石を絶縁してから束石を設置します。
④鋼製束を取り付けます
⑤鋼製束のレベルを調整し、傾きや歪みが無いかチェックし完了です
まとめ
針状結晶の影響によるコンクリートの劣化は、建物の耐久性を著しく低下させます。
しかし、適切な対策をとることで建物を守ることができます。
そのためには、定期的なメンテナンスを行い、建物の状況を確認することがとても重要です。
ヤマト産業では、シロアリだけではなくこうした家の安全を脅かす様々な原因にも日々研究を行っています。
床下の点検をご希望される場合は、私たちヤマト産業までぜひ、お問い合わせください。